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一の橋の型染の着尺

第三千八百三十七回目の作品として、一の橋の型染の着尺を紹介します。

紬地に型染した着尺です。このような細かい筋が多数ある意匠は、しけ引き染を連想させます。しけ引き染は刷毛を使って手染めするもので、けっこう高価なものです。これも似たような模様ですが、型染(シルクスクリーン)で染めているため普通の京都の型染小紋の値段です。

どう違うかと言えば、しけ引き染の職人はより美しく繊細な線を引こうと自分の技を磨いているでしょうが、型染めの職人もまた自分の技を磨いているでしょうから、本来しけ引き染でないとできないことが型染でもできてしまったり、反対にどうしても型染では追いつかなかったりするわけです。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。反物の端の緑のラベルは、「茨城県特産指定」の証紙です。石下紬の染下地を使っていることが分かります。

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写真2番目は少し近接してみました。

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写真3番目は、さらに少し近接してみました。刷毛で染めたしけ引き染は繊細で、型染ではそこまで出来ないと考えれば間違いだと思います。しけ引き染は人の手による温かみがあり、型染は画一的と考えればさらに間違いだと思います。

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写真4番目は、出来るだけ近接してみました。例えばこの写真を見て、手描きしているとか、型で染めているとか区別ができるでしょうか。
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野口の手挿しの訪問着の続き

第三千七百二十七回目は、野口の手挿しの訪問着の続きです。

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いちばん上の写真は袖です。袖の裾から枝が出て、弧を描くように伸びています。この訪問着で描かれているのは、前姿1本、後姿1本、計2本の樹木だけですし、その種類も同じです。葉はなく花だけですし、その花も全部同じ向きです。とてもシンプルな図案なんですね。

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写真2番目は、前姿の上の方の花の多いところです。裾から伸びてきた幹は一度オクミの方に曲がって、オクミとマエミの縫い目をまたいだメインの模様になります。普通の付下げの模様は、マエミ、オクミというように別の模様が有るわけですが、1本の樹木をテーマにしていると、模様を置きたい場所に幹が曲がっていって、そこで花をつける図案になるわけです。

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写真3番目は、前姿の下の方の花の多いところです。普通の付下げでもマエミの下の方に模様が有りますが、その役割を果たす枝が生えています。太い幹よりも細い枝の方が色が濃いんですね。この方が模様が締まるんでしょうか、図案のテクニックなんでしょうね。

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写真4番目は、後姿の模様の花の多いところです。花は同じ形のようですが、縁取りが有るものとそうでないものがあり、強弱感が有ります。花は全部前を向いていて、子供が描くような形ですが、「下手な絵」なのではなく「装飾的な画面」なのです。

野口の手挿しの訪問着

第三千七百二十六回目の作品として、野口の手挿しの訪問着を紹介します。

手描き友禅と型染(現在はほとんどシルクスクリーン)の間に手挿しがあります。手挿しは型糸目ともいうのですが、糸目すなわち模様の輪郭線だけに型を使い、模様の内部は手描きするものです。手描きと型染を見分けるために、裏を見て染料が裏まで透っているか見ることがありますが、この方法では手挿しと手描きを見分けることはできません。色はどちらも手で挿しているわけですから。

どこが違うかというと、手挿しは複数生産を前提としているので、日本のどこかで、誰かが同じ模様の色違いを着ていることです。いきなり量産するのではなく、毎年1,2枚ずつ、流行が変わって売れなくなるまで作り続けるので、最終的に何枚作るかはわかりません。昔は数十枚作ったでしょうが、今では不人気なら数枚、人気でも十数枚でしょうか。

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いちばん上の写真は前姿です。この作品は反物で制作され、指定された箇所で裁つと模様がつながって訪問着になるようになっています。

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写真2番目は前姿ですが、おはしょりや帯の裏になって見えないところです。前姿の下から生えてきた樹木は、付下げであれば帯の下で梢まで描いて一度終わるところですが、この帯の裏を通り抜けていきます。訪問着的な構成ですね。

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写真3番目は胸です。裾から変えてきた樹木は帯の裏を突き抜けて胸にまで達し、そこに梢があります。

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写真4番目は後姿です。左側の枝は前姿の樹木から繋がってきている枝です。後姿の裾からも1本樹木が生えてきています。

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写真5番目は、後姿を縦の写真で撮ったものです。後姿の樹木もけっこう上まで伸びていて横の写真では入りきらないので、縦の写真で撮りなおしてみました。

千切屋治兵衛の着尺(実際の制作は大和さん)

第三千六百九十回目は、千切屋治兵衛の着尺を紹介します。実際に制作したのは大和さんです。

前回紹介した着尺と同じ飛び柄の雪輪ですが、全然雰囲気が違います。前回は雪輪の中は型疋田でしたが、今回は「中太雪輪」というタイトルで輪郭のみの表現になっています。また、生地の地紋が縞になっており、しっかりしていますが縮緬より薄手の雰囲気なので単衣にも使えそうです。単衣に使うばあい、色が焦げ茶で暑苦しいと感じられるかもしれませんが、夏に焦げ茶を着こなすのは大人っぽいですね。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真2番目は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。上とこの写真の2枚で模様が一巡します。

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写真3番目は近接です。

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写真4番目は近接です。

千切屋治兵衛の着尺(実際の制作は大和さん)

第三千六百八十六回目の作品として、千切屋治兵衛の着尺を紹介します。実際に制作したのは大和さんです。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真2番目は、模様の近接です。

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写真3番目は、模様の近接です。同じに見える雪輪が飛び柄になっている着尺は、全部同じ形の雪輪というわけでないというところを撮ってみました。型の長さが2尺あって、その間の数個は別の形のようです。

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写真4番目は、模様の近接です。型疋田の雪輪が主文として、副文的な淡い消えそうな雪輪もあります。