小千谷縮

第三千七百十二回目の作品として、小千谷縮を紹介します。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。白からベージュまでの同系濃淡の複数の糸を経緯に組み合わせてグラフィックデザイン風の意匠にした作品です。

「同系濃淡の複数の糸」と書きましたが、実際には何色でしょうか。よく見ると、白、淡いベージュ、普通のベージュの3色にすぎないですね。しかし織物というのは、経緯の糸の組み合わせで出来ていますから、白×白、白×淡いベージュ、白×普通のベージュ、淡いベージュ×淡いベージュ、淡いベージュ×普通のベージュ、普通のベージュ×普通のベージュ・・・という組み合わせが成り立ち6通りの色ができます。

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写真2番目は近接です。6つの色の面の中に、白と普通のベージュの格子が入っています。それで複雑に見えるグラフィックが完成しているわけです。

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写真3番目はもっと近接です。格子が揺らいでよろけ格子になっているのは、特殊な組織になっているのではなく、ただ縮み織の表面の形状にしたがっているだけです。

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写真4番目は、ルーペで拡大してみました。白×淡いベージュの部分、すなわち2番目に淡い面を撮っています。格子の経糸はベージュ、格子の緯糸は白だとわかります。

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写真5番目は、ライトスコープで拡大してみました。経糸と緯糸の糸の撚り方の強さの違いが分かります。緯糸に強撚糸を使うのが縮みです。もっと写真が鮮明ならば1本ごとに撚りが反対向きになり、戻ろうとする藩動力で縮みが生じているところをはっきりお見せできるんですけどね。
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[ 2017/04/11 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(0)

小千谷縮

第三千七百十一回目の作品として、小千谷縮を紹介します。

重要無形文化財の小千谷縮は、手績みの苧麻で手織りしたものですが、今日紹介する小千谷縮はラミーで織った普及品です。ラミーというのは、麻を英語で言ったものだと思っていたので外人にそう言ったら、レイミーだと直されました。ラミーというのは英語というよりも、機械紡績した麻の糸を意味する日本の染織用語のようですね。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。水色の地に加賀五彩を思わせるような配色の経糸を加えたものです。ただし、ただの縞ではなく途中で途切れている部分もありますから、手間のかかった絣なんですね。制作工程を考えると、ただの縞と途中で色が途切れる絣とでは全く手間が違います。

縞はよろけ縞で、途中で色が途切れる要素も含めて、カジュアル感があります。お洒落感といった方が良いでしょうか。しかし、よろけているのは縮り織の生地の影響を受けているからで、よろけるように織っているわけではありません。

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写真2番目は近接です。

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写真3番目はもっと近接です。

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写真4番目は、ルーペで拡大したものです。経糸はあまり撚りがかかっていなくてふわっとした感じもありますが、緯糸は強く撚りがかかっていてその結果として生地にしぼが生じています。これが縮み織りですね。

絣糸を見ると、その絣足部分(色が途切れるところ)を見ると、グラデーションになっていることが分かります。絣足がグラデーションであることは絣にとって至高の価値があります。絣の作り方には防染して染液に浸けるのと、直接染める捺染がありますが、いちばん価値が有るホンモノは木綿糸など自然素材による手括り防染で、その特長は染液が微妙に浸透することによって生じるグラデーションだからです。

もちろんせいぜい数万円で売られるこの小千谷縮にそんな贅沢な技法が使われているわけではないですから、絣を作る工程で演出されているのだと思います。
[ 2017/04/10 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(0)

奥順のウールの絣の着物を拡大して撮ってみた

第三千六百八十二回目は、奥順のウールの絣の着物を拡大して撮ってみました。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真2番目は、絣がわかるように近接してみました。経緯の絣です。

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写真3番目は、陽に透かして見てみました。けっこう隙間がある織物で、サマーウールとして単衣の時期辺りに着ると良さそうです。

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写真4番目は、ルーペで拡大してみました。経は2本、緯は1本の絣がぶつかるようになっていることがわかります。

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写真5番目は、ライトスコープで拡大してみました。

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写真6番目は、経糸だけをルーペで見てみました。

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写真7番目は、経糸だけをライトスコープで見てみました。いろいろ試してきましたが、ここまですると無地の糸と絣糸の違いがやっと分かりますね。絣糸の方が細くて色も濃いです。絣糸が絹で無地の糸がウールのようです。表示にある絹20%というのは絣糸の比率が20%ということになるのでしょう。
[ 2017/03/12 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(0)

奥順のウールの絣の着物

第三千六百八十一回目の作品として、奥順のウールの絣の着物を紹介します。

2015年10月21日(三千二百四十回)で、1反だけ紹介していますが、今回複数反仕入れたのでまた紹介します。普段着の着物としてウールの着物が流行ったのは昭和30年代~40年代でしょうか。当時はすごくバリエーションがあって、染織史的にはハイレベルである多色の絣の高級品も織られていました。現在ではウールで着尺を織っていた工場もほとんど廃業して珍しいものになりました。無地ならなだ入手できるでしょうが、絣模様でお洒落なウールが欲しいなんて言われたらたいていの呉服屋さんは困るでしょうね。

今日紹介するのは、結城紬でいちばん有名なメーカーである奥順がかつて織ったウールの絣です。前回と同じく奥順の倉庫に有ったらしいもので、、高梨が発掘してきたものです。織られたのはいつだかわかりませんが、昭和50年より前じゃないかと思います。沖縄の復帰は昭和48年でまだ芭蕉布とか宮古上布なんてものは見たことが無い時代でしたから、呉服業界では結城紬が圧倒的な高級品だったのです。その時代にそのいちばん有名なメーカーが、「結城・・・」というネーミングでウールを販売したというのは、ポルシェの自転車みたいなものだったのではないでしょうか。


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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真2番目は、別の作品を反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真3番目は、別の作品を反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真4番目は、別の作品を反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真5番目はラベルの近接です。こういう作品の紹介をするときはラベルがいちばん大事ですね。○に一が奥順のマークです。手織りであること、ウールの織物ですが絹が20%含まれてシルクウールであることがわかります。「手織り」は嘘ではないでしょう。機械にすれば簡単で儲かるなんていうのは、工場を経営したことのない人の発想で、機械を導入するコストを考えればいつもの職人さんに織らせてしまった方が楽ですしね。

ブランドだけ自社で、織るのは機械を所有する人に生産委託ということもありえますが、他人に現金を払うより、訓練を兼ねて自前の育成途中の職人さんに織らせた方が得だったでしょう。
[ 2017/03/11 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(0)

奥順の結城紬の無地(重要無形文化財の要件を満たさないもの)

第三千六百五十三回目の作品として、奥順の結城紬の無地を紹介します。重要無形文化財の要件を満たさないものです。

前回と1月28日(三千六百三十九回)にも重要無形文化財でない奥順の結城紬の無地を紹介しているので、これで3反目になります。貼られているラベルは3反とも同じですが、前回のは縮織りで拡大してみると緯糸が縮んでジグザグになっているのですぐわかります。用途も単衣用ということで違いますし。

しかしながら、1月28日(三千六百三十九回)の結城紬と今回の結城紬は、ラベルが同じだけでなく拡大写真を見てもそれほど差はわかりません。しかし実際の風合いは、1月28日の結城紬は真綿の風合いで地厚なのに対し、今回の結城紬はもう少し地が薄い印象です。着る時は単衣に対応できるかどうかですから、用途を考えれば大違いです。

紬と言われるものには、経緯の糸とも真綿糸、経糸だけ玉糸で緯糸が真綿糸、経緯の糸とも玉糸、経糸が絹糸で緯糸が玉糸、あるいは大島紬のように経緯糸とも絹糸という区別があります。それらは顕微鏡で見るとわかります。しかし、真綿どうしでも撚り方の強弱が違ったりする程度のものは、なかなか顕微鏡で見ただけではわかりません。見ると同時に触ってみてわかるんですね。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真2番目は近接で撮ったものです。見た感じでは生地の表面に凹凸があり、ざらっとしたカジュアルの風合いが予想されます。

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写真3番目は拡大です。じつは経緯で糸の色が違います。肉眼で見るきはこの平均の色で見えているのです。

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写真4番目はさらに拡大です。ぜひ、1月28日、2月7日の記事の拡大写真と比べてみてください。

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写真5番目は、茨城県の証紙と奥順の札です。

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写真6番目は、反物の裏の端に貼ってあるラベルです。「難なし」???ギャクのようなラベル。私は「スピード違反をしていません」とわざわざ警察に言いに行く感じですねえ。
[ 2017/02/11 ] 各地の絣・紬 | TB(0) | CM(0)