市川銕琅の撥鏤(ばちる)の帯留

第四千三回目は、市川銕琅の撥鏤(ばちる)の帯留です。

市川銕琅は木彫作家で加納銕哉の弟子です。奈良に工房がありましたから南都工芸の作家のイメージですが、じつは出身は東京都調布市で、たくさんの作品が調布市郷土博物館に収蔵されています。

撥鏤(ばちる)は唐時代の技法で、奈良時代は日本でも制作され、正倉院に多く残っています。いちばん有名な作品は「撥鏤尺」で、天皇が使った儀式用の物差です。物差に儀式が必要なのかとも思いますが、世界史で習う始皇帝の業績の1つに度量衡の統一というのがあるように、目盛りを決めるというのは権力者の象徴的な仕事だったわけです。

撥鏤(ばちる)は、象牙を臙脂の染液で煮て、模様を彫ったものです。煮ることで臙脂が象牙の中に浸み込むわけですが、煮る時間によって浸み込む深さが違います。すると彫ったときに生じるグラデーションが違うわけです。どの程度煮たら良いのか、そういうことは正倉院の本歌を見ながら試行錯誤していくわけです。

他にも技法上の謎が多く、難度が高いですから作家も少なく、現代の復元品にしても実物を見た方は少ないのではないでしょうか。現代の撥鏤(ばちる)の最高品といえば人間国宝の吉田文之が有名ですが、市川銕琅も作っていたんですね。

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いちばん上の写真は、正面から撮ったもので、長さは5.3cmです。赤は臙脂で煮たものですが、緑は緑青で彫ってから着彩します。本歌の撥鏤尺は、このような華文や鳳凰を描いた枠が長く並んで物差になっています。そのうち2つの枠をとって帯留にしたというデザインです。

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写真2番目は、身に着けたときに、本人からはこのように見えるだろうということで撮ったものです。厚みは0.75cmです。

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写真3番目は裏側で、落款を撮ってみました。

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写真4番目は、箱と箱書きです。箱書きが「花鹿」でなく「鳳凰」となっているのが気になるところ。

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写真5番目も、箱と箱書きです。他にも市川銕琅のものを買ったことがあるが、2つある印は同じ。

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写真6番目は、織悦の袋帯「東大寺花文」に合わせてみました。明日から帯合わせをしてみますが、とりあえず意味を合わせて正倉院の華文に合わせてみました。

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写真7番目は、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」に合わせてみました。法隆寺の「蜀江小幡」の幡頭の手の部分に使われている裂です。
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[ 2018/01/27 ] 小物と小物合わせ | TB(0) | CM(0)

象牙の帯留「南蛮船」の帯合わせ

第四千回目は、象牙の帯留「南蛮船」の帯合わせです。

今日は袋帯と合わせてみました。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「彩香間道」を合わせてみました。南蛮船がインドから運んだのは縞であって間道ではありません。正確に言えば、南蛮船に関係するのは近世にインドから輸入されたものが縞(木綿)、中世に中国から舶載されたのが間道(絹)です。だからこの帯合わせは本当は意味的に関係がないのですが、どっちも縞模様なので、合わせていればなんとなく勘違いしてくれると思います。

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写真2番目は、龍村の袋帯「常磐間道」を合わせてみました。

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写真3番目は、龍村の袋帯「東雲間道」を合わせてみました。

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写真4番目は、龍村の袋帯「ちとせ間道」を合わせてみました。

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写真5番目は、織悦の袋帯「金更紗蔓花」を合わせてみました。インドのイメージで更紗模様を織物にした帯を合わせてみました。

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写真6番目は、織悦の袋帯「インド華文更紗」を合わせてみました。

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写真7番目は、織悦の袋帯「ペルシア巻花蔓」を合わせてみました。

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写真8番目は、織悦の袋帯「畦袋インドモール立木段文」を合わせてみました。これは東インド会社経由で輸入された豪華な金糸使いのモールに取材したものです。
[ 2018/01/24 ] 小物と小物合わせ | TB(0) | CM(0)

象牙の帯留「南蛮船」

第三千九百九十九回目は、象牙の帯留「南蛮船」です。

最近、お客さまの依頼により「古裂会」で落札した帯留です。長さが7cmで、帯留としては大きいですね。

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いちばん上の写真は全体です。京都大丸の箱が付属しています。

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写真2番目は裏側です。作者の銘がありますが、誰かは知りません。

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写真3番目は、実際に身に付けたときに、本人からはこんな風に見えるでしょう。

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写真4番目は、近接で撮ってみました。

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写真5番目は、龍村の袋帯「甲比丹(カピタン)縞格子」を合わせてみました。近世に東インド会社経由で輸入されたモール裂に取材した帯です。タイトルからすればこの帯留にぴったりですね。

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写真6番目は、色違いの帯です。東インド会社でも、ポルトガルなら南蛮船、イギリスなら紅毛船でしょうけど。

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写真7番目は、龍村の袋帯「印度煌華文」を合わせてみました。インド経由というテーマで選びました。凝った造形の帯留は無地っぽい帯の方が良い、と思いがちですが、花模様の上に載せても大丈夫ですね。

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写真8番目は、龍村の袋帯「異邦しま文」を合わせてみました。やはりインド経由テーマで。帯と帯留の色目を合わせてみました。
[ 2018/01/23 ] 小物と小物合わせ | TB(0) | CM(0)

渡敬の帯揚

第三千九百七十回目は、渡敬の帯揚げを紹介します。

今日は絞りの帯揚げを紹介します。

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いちばん上の写真は、「縮緬梅リン出し」の全体です。昨日は、帯揚げは1反の反物からたくさん取れるんじゃないか、疵の反物を買ってきて疵をよけて使えば良いんじゃないか、と書きましたが、ちゃんとした帯揚げは、ちゃんと端の部分があって、丹後ちりめんのロゴが入っています。最初から帯揚げ用の生地として製織されているんですね。

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写真2番目は、「丸リン出し三越」です。

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写真3番目以下は色違いです。

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[ 2017/12/25 ] 小物と小物合わせ | TB(0) | CM(0)

渡敬の帯揚げ

第三千九百六十九回目は、渡敬の帯揚げを紹介します。

帯揚げには、無地、地紋のある無地、絞り、型染などがあります。今日紹介するのは型染によるものですが、色数もけっこう多く、その色数だけ型を使えば相当コストがかかっていると思います。

私は着物だと見当がつくのですが小物に詳しくないので、帯揚げのコストやロットがよくわかりません。1反の反物から何本できるのか、疵のある反物を買って疵の無いところだけ取って作ればコストが節約出来るのではないか、など調べてみたいと思っています。それが分らないと値切ることもできませんものね。

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いちばん上の写真は、帯揚げの幅を写真の幅として撮ったものです。センスが良いかどうかよくわかりませんが、高い小紋と同じ手間とコストがかかっていると思います。1反分染めて小分けするのでしょうか。ではなぜ「丹後ちりめん」のロゴがあるのでしょうか。帯揚げ用の生地として織らせたのでしょうか。それで1つ1つ型を置いて染めて採算が合うのでしょうか、けっこうわからないです。

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写真2番目は近接です。帯揚げの端の部分です。

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写真3番目は、帯揚げの幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真4番目は、帯揚げの幅を写真の幅として撮ったものです。ブロックみたいなデザインの端はこのようになっていました。

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写真5番目は近接です。

[ 2017/12/24 ] 小物と小物合わせ | TB(0) | CM(1)