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藤井絞の本疋田の振袖

第四千百四十一回目は、藤井絞の本疋田の振袖を紹介します。

江戸時代には総鹿子などと呼ばれ、しばしば奢侈禁止令の対象になった高級品です。疋田絞りの価値は、反物の幅に何個の疋田が並んでいるか、ということと、1つ1つの疋田に対し絞り糸を何回巻いているか、という2つの基準があります。この作品のばあい、反物の幅に55個の疋田があり、55建てといいます。

また普通の疋田は木綿糸で4巻きしていますが、この作品のばあい絹糸で7~8巻しているんじゃないでしょうか。11巻と称する場合もあるようですが。それは疋田の真ん中のポチの大きさで分かります。このような巻の多い疋田を本疋田と言います。

総鹿子は、江戸時代は京都でも有松でも作られていたでしょうが、現在では有松の特産になっています。藤井絞は京都の絞り屋さんで京都の絞りの文化の継承者ですが、これは有松に下請けに出して制作しています。

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いちばん上の写真は全体です。

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写真2番目は、前姿(マエミ+オクミ)です。

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写真3番目は後姿です。

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写真4番目は近接です。

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写真5番目は近接です。

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写真6番目は、疋田を近接で撮ってみました。真ん中のポチの小ささが本疋田の特徴です。精巧な絞りですが、近接で見ると手絞の揺らぎがあります。この揺らぎがなければ工業的な量産品であり、工芸的にはこういう状態が美しいということになりますね。
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[ 2018/06/18 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「彩華鹿鳥錦」の帯合わせ

第三千八百二回目は、龍村の袋帯「彩華鹿鳥錦」の帯合わせです。

龍村の袋帯ということで、とりあえず大羊居の訪問着を合わせてみます。

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いちばん上の写真は、大羊居の訪問着「モザイクトルコキキョウ」を合わせてみました。

モザイクのように表現された花模様とそれを背景に普通に描かれた花模様が重なる図案です。

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写真2番目は、大羊居の訪問着「モザイク牡丹」を合わせてみました。豪華な牡丹模様ですが、古い時代の織物のようにカクカクで表現されたところが個性です。

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写真3番目は、大羊居の訪問着「春秋華映」を合わせてみました。桜と楓をテーマにしていますが、地色も2色に染め分けられて、まさに春秋ですね。

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写真4番目は、大羊居の訪問着「飛鶴瑞祥」を合わせてみました。蔓がたくさん飛び回っていますが、それが小さいことで大空を感じさせる雄大な意匠になっています。

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写真5番目は、大羊居の訪問着「更紗遊苑」を合わせてみました。小袖にもある立木模様は、インドの生命の木の翻案と言われますが、それをさらに更紗に戻したような図案です。
[ 2017/07/10 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

藤井絞の桶絞りの訪問着

第三千七百八十五回目の作品として、藤井絞の桶絞りの訪問着を紹介します。

美しいキモノの2015年冬号の表紙に使われた着物です。その表紙は知的所有権の問題がありますからここでお見せすることはできませんが、「美しいキモノ 2015冬」で検索していただくと、ハースト婦人画報社のホームぺージかアマゾンで見られます。

全体が桶絞りで作られた着物です。桶絞りという技法は、生地の染めたくない部分を桶に入れ、染めたい部分を桶から出した状態で蓋をして縄で縛って圧力をかけ、染液に浸けるという方法です。たかが染分けをするためだけに、なぜそんなまだるっこしいことをしなければならないのかと思いますが、それはいろんな技法がある現代人の感覚で、室町時代の人にとっては、桶を使うというのは合理的な技法だったのです。

現代の辻が花に使われる絞の代表的な技法は帽子絞です。生地の絞りたい部分を摘まんで芯を入れ、それをビニール(フィルム)で包んで防染して染液に浸けます。室町時代も同じですが、プラスティックフィルムのようなものはありませんから、竹の皮あるいは油紙を使いました。竹の皮は竹の円周を超える大きさのものはありませんし、油紙というのも心もとないですから、小さい面積しか防染できませんでした。

大きい面積を染分けるにはどうしたらいいか、そこで登場するのが桶なのです。まだるっこしく感じますがプラスティックフィルムが無い地代はそれが唯一の方法なのです。現在では大きいプラスティックフィルムで包めばいいのですが、じつはそれが問題で、巨大な帽子絞でも染分けできてしまうために、一見同じに見えてもホンモノの桶絞りとニセモノの桶絞りが生じてしまったのです。現在、京都で桶絞りをしている工房は1軒か2軒ではないでしょうか。これはその数少ないホンモノです。

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いちばん上の写真は全体です。着物の意匠と思えば、使われている技法は絞りだけですし、パターンを繰り返すシンプルなものに感じます。しかし桶絞りの工程を考えると、どうやって桶の中に入れる部分と出す部分を選択したのか、複雑怪奇な気がします。

色は爽やかですから、染め重ねることはしていないのです。つまり一色は1回で決めなければいけないんですね。おそらく水色を染める時は水色以外の部分を桶に入れて水色の染液に浸け、黄色を染める時は黄色以外の部分を桶に入れて黄色の染液に浸るということを、色数だけ繰り返したんだと思います。

染分けの内部は花の模様が白抜きになっていますが、これは小さい面積の絞ですから帽子絞りです。桶絞りをしつつ、入れ子的に帽子絞りもしているんですね。

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写真2番目は、前姿(マエミ+オクミ)です。友禅のばあいは、中井淳夫さんのような重厚な色が良い場合もありますが、絞りは失敗して何度も絞り直していればいやでも重厚になってしまいます。色が爽やかであるということは、1度で鮮やかに決めているという技の凄さを表しているわけです。

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写真3番目は、前姿~脇縫い~後姿です。現在は染分けの技法はいろいろあるわけですが、その中で特に面倒な絞りを選ぶ理由は何でしょうか。私は輪郭線が軟らかくグラデーション効果があることだと思います。特にこの作品は全身染分けで、グラデーションの見せ場だらけです。

普通の桶絞りは、刺繍や箔を併用することが多いです。絞りがグラデーション担当で、その他の技法がコントラスト担当でバランスが取れるのです。しかしこの作品はグラデーションだけで柔らかい一方ですから、漫才でいえばボケだけですね。そのことで着る人を優しく見せますし、コントラスト役を帯に任せているとも言えます。そこのところは帯合わせで改めて論じたいと思います。

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写真4番目は後姿です。中央の縫い目は背中心です。

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写真5番目は背中心辺りから下前です。
[ 2017/06/23 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

藤井絞の振袖の細部

第三千四百八十六回目は、藤井絞の振袖の細部です。

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いちばん上の写真は、背中心辺りの模様です。よく見ると、この作品の檜扇は全て要がありません。桶絞りによる染分けは流水を表していて、振袖の画面全体が扇面流しになっていて、要の部分は水没しているのです。檜扇は扇面流しするのか?なんて突っ込むこともできますが。

桶絞りの流水の中には、桜や花の形の絞りもあります。花の時期で、散った花弁も流れているんでしょうね。

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写真2番目は、檜扇の1つに近接してみました。檜扇の形が崩れていて、かなり水没していますね。檜扇の輪郭線が柔らかく、それが全体の雰囲気を優しくするのに貢献しています。檜扇が水没していなくて、輪郭がきちんとしていたら、全体が堅い雰囲気になったと思います。

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写真3番目は、別の檜扇の1つに近接してみました。檜扇の水没部分が変形しています。ちょうどそこに疋田の絞りがありますが、波か泡なんでしょうね。

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写真4番目は、別の檜扇の1つに近接してみました。

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写真5番目は、できるだけ近接してみました。檜扇は柔らかい輪郭線で表現されふわふわした感じですが、止め金具は金駒の刺繍で重厚感のある表現をしています。団子の串のような役割をしているんですね。串になる部分が無く、ふわふわだけであれば、ボケだけで突っ込みが無い漫才みたいになってしまうんでしょう。

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写真6番目は参考図版です。江戸時代の小袖「檜扇に夕顔小袖」の檜扇部分に近接してみました。こちらは、水没しているわけではないので、しっかり要までありますし、紐もあります。それだけでなく、檜扇の輪郭線自体も今回の作品より、カチッと描いてあるようで、そのためにかなり違う印象になっています。
[ 2016/08/27 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

藤井絞の振袖

第三千四百八十五回目の作品として、藤井絞の振袖を紹介します。

NHKの海外向け放送の日本の伝統工芸を紹介する番組の、京都の絞りを取り上げた回で、制作工程が紹介された作品です。現在では、疋田絞りは中国など海外で制作されることが多いですが、この作品は制作工程が撮影されているので、京都で制作されています。また、本来桶絞りで制作されるべき大きな面積の絞りは、現在ではビニールのフィルムを使った帽子絞りで作られてしまいますが、この作品では撮影のため、本来の桶絞りで作っています。

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いちばん上の写真は全体です。

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写真2番目は、前姿(マエミ+オクミ)です。

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写真3番目は、モデルさんが着用したところです。夏毛のモデルさんでも似合います。

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写真4番目は、冬毛のモデルさんが着用したところです。写真を撮っている時は気が付かなかったのですが、モデルさんが1人倒れているのが気になります。

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写真5番目は参考図版で、この作品の元になった江戸時代後期の小袖「綸子地檜扇に夕顔模様小袖」です。夕顔は刺繍で表現されてますが、その部分が、今回の作品では桶絞りによる流水に変更されています。
[ 2016/08/26 ] 絞り | TB(0) | CM(0)