藤井絞の振袖の細部

第三千四百八十六回目は、藤井絞の振袖の細部です。

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いちばん上の写真は、背中心辺りの模様です。よく見ると、この作品の檜扇は全て要がありません。桶絞りによる染分けは流水を表していて、振袖の画面全体が扇面流しになっていて、要の部分は水没しているのです。檜扇は扇面流しするのか?なんて突っ込むこともできますが。

桶絞りの流水の中には、桜や花の形の絞りもあります。花の時期で、散った花弁も流れているんでしょうね。

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写真2番目は、檜扇の1つに近接してみました。檜扇の形が崩れていて、かなり水没していますね。檜扇の輪郭線が柔らかく、それが全体の雰囲気を優しくするのに貢献しています。檜扇が水没していなくて、輪郭がきちんとしていたら、全体が堅い雰囲気になったと思います。

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写真3番目は、別の檜扇の1つに近接してみました。檜扇の水没部分が変形しています。ちょうどそこに疋田の絞りがありますが、波か泡なんでしょうね。

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写真4番目は、別の檜扇の1つに近接してみました。

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写真5番目は、できるだけ近接してみました。檜扇は柔らかい輪郭線で表現されふわふわした感じですが、止め金具は金駒の刺繍で重厚感のある表現をしています。団子の串のような役割をしているんですね。串になる部分が無く、ふわふわだけであれば、ボケだけで突っ込みが無い漫才みたいになってしまうんでしょう。

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写真6番目は参考図版です。江戸時代の小袖「檜扇に夕顔小袖」の檜扇部分に近接してみました。こちらは、水没しているわけではないので、しっかり要までありますし、紐もあります。それだけでなく、檜扇の輪郭線自体も今回の作品より、カチッと描いてあるようで、そのためにかなり違う印象になっています。
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[ 2016/08/27 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

藤井絞の振袖

第三千四百八十五回目の作品として、藤井絞の振袖を紹介します。

NHKの海外向け放送の日本の伝統工芸を紹介する番組の、京都の絞りを取り上げた回で、制作工程が紹介された作品です。現在では、疋田絞りは中国など海外で制作されることが多いですが、この作品は制作工程が撮影されているので、京都で制作されています。また、本来桶絞りで制作されるべき大きな面積の絞りは、現在ではビニールのフィルムを使った帽子絞りで作られてしまいますが、この作品では撮影のため、本来の桶絞りで作っています。

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いちばん上の写真は全体です。

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写真2番目は、前姿(マエミ+オクミ)です。

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写真3番目は、モデルさんが着用したところです。夏毛のモデルさんでも似合います。

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写真4番目は、冬毛のモデルさんが着用したところです。写真を撮っている時は気が付かなかったのですが、モデルさんが1人倒れているのが気になります。

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写真5番目は参考図版で、この作品の元になった江戸時代後期の小袖「綸子地檜扇に夕顔模様小袖」です。夕顔は刺繍で表現されてますが、その部分が、今回の作品では桶絞りによる流水に変更されています。
[ 2016/08/26 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

一の橋で仕入れた着尺の帯合わせ

第三千四百五十四回目は、一の橋で仕入れた着尺の帯合わせです。

今日は織の帯で合わせてみます。普通、このような具象画的な着尺(小紋)に対してはシンプルな織帯を合わせるのが普通で、昨日までのように絵の上に絵を載せて勝負させるような帯合わせの方が特殊です。一般的には、絵の上に絵を載せて「センスが良い」などと言われようと思うのは、駱駝が針の目を通るようなものだと思います。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「彩雪輪」を合わせてみました。今日はゴレンジャーみたいに色で合わせています。まずレッドです、模様はシンプルに雪輪。

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写真2番目は、龍村の仕立て上がり名古屋帯「光波帯」の1本「獅噛鳥獣文錦」を合わせてみました。イエロー担当は、豊臣秀吉が来ていた陣羽織として伝わるペルシア絨毯に取材したものです。この作品は、帯の意匠として模様が小さくなっていますが、元作品は龍村が正式に再現してもいます。

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写真3番目は、おび弘の袋帯を合わせてみました。おび弘は証紙番号607ですから、「佐波理綴」で有名な池口と同じです。本金引き箔の手織りの帯で、デザインはモダンでも技術は伝統そのものです。戦隊モノのブルーは水色ですよね。

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写真4番目は、龍村の袋帯「甲比丹縞格子」を合わせてみました。近世、東インド会社経由で輸入されたモールに取材したものです。同じころ輸入された唐桟縞も高級品だったのでしょうが、木綿の縞とは格違いの本金糸(モール)を織り込んだマハラジャ専用超高級品です。緑担当。

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写真5番目は、龍村の袋帯「郁芳間道」を合わせてみました。ピンクはやめて紺にしてみました。紺とベージュの間道ですが、ベージュは着尺の模様にも使われているので、ほとんど色数を増やさない帯合わせとして選んでみました。間道なので色だけでなく模様も増やしていません。

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写真6番目は、洛風林の袋帯「名物小枝文」を合わせてみました。梅唐草に宝尽くしを合わせた意匠で、名物裂の「大黒屋金襴」に取材したものです。白地。
[ 2016/07/25 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

野口のどちらかというとカジュアルな夏の名古屋帯

第三千四百二十三回目の作品として、野口のどちらかというとカジュアルな夏の名古屋帯を紹介します。

紋紗の生地に絞りで模様を付けた名古屋帯です。正絹の帯ですが、このような絞りの模様だとカジュアルな雰囲気になりますね。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅として撮ったものです。

丸い形の絞りの周囲に四角い枠が見え、丸と四角で構成された意匠のように見えます。しかし、この四角の枠は意図的に描かれたものではなく、この丸い絞りは生地を折りたたんで圧力をかけて防染する絞りで、その折り目に染料が溜まった痕跡なのです。技法の特徴としてやむなく生じたムラを意匠として取り込んでいるんですね。

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写真2番目は、絞りの模様の無い部分の生地の写真です。紋紗の模様は丸で、それに対して絞りで丸い模様を重ねているのです。これこそ野口のセンスですね。普通の人なら、生地の地紋と染の模様は違うものにするのではないでしょうか。

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写真3番目は、絞りによる模様の近接です。丸模様の紋紗の生地の上に、絞りで丸い模様を重ねたのであれば、両者を関連付けたいところです。しかし、ここでは両者は大きさも違い、配置もずれています。生地の地紋と染の模様が同じということは、たぶん両者は連携しているのだろうと思いますが、その予想は完全に裏切られ、両者は勝手に存在しています。

これも野口のセンスでしょう、これが洒脱な雰囲気を生んでいるんだと思います。

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写真4番目は、生地の近接です。紋紗の構造がわかるように撮ってみました。緯糸は太いしっかりした糸で全体が同じです。経糸は撚った糸ですが、紗の部分だけさらに強く撚って糸を細くし、隙間を作って紗にしています。

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写真5番目は、生地の紗の部分の拡大です。隙間がよくわかるように下に赤い紙を敷いてみました。

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写真6番目は、生地の紗でない部分の拡大です。
[ 2016/06/24 ] 絞り | TB(0) | CM(0)

一の橋の付下げ「笹」の帯合わせ

第三千四百十回目は、一の橋の付下げ「笹」の帯合わせです。

今日も袋帯を合わせてみました。昨日は美智子さま風というテーマにしてみましたが、今日はもう少し自由に合わせてみました。

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いちばん上の写真は、華陽の袋帯を合わせてみました。華陽は、地が綴れ組織で模様が絵緯糸で表現されている帯で、すべて西陣手織協会の証紙が付いていました。手織りの高級な帯でしたが、数年前に廃業しました。この作品は菊がメインですが、アリバイ作りのように桜もあって、四季着られるように配慮されています。

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写真2番目は、織悦の袋帯を合わせてみました。道長取りの意匠ですが、地に有職文である立沸文、花菱文も織り込まれていて、雅な王朝文化をテーマにした作品とわかります。

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写真3番目は、洛風林の袋帯「宝飾華文」を合わせてみました。まだ帯屋捨松が洛風林同人であったころのものだと思います。ちょっとエキゾチックな趣もある濃厚な意匠です。上の公家文化とは対照的ですが、笹だけの意匠の着物はどちらも何となく受け入れているように思います。

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写真4番目は、龍村の袋帯「郁芳間道」を合わせてみました。紺とクリームのみのすっきりした間道です。「郁芳」というオリジナルネームが付いていますが、このような配色の元になる間道は名物裂としてあります。元の名物裂にちなむネーミングを持つ間道は高島屋専売として販売されています。

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写真5番目は、池口の袋帯を合わせてみました。西陣らしい引き箔の織物の上に刺繍を加えたものです。池口兄弟の中には刺繍を専業としている人もいて、このような刺繍の帯も池口の得意分野ですが、これはさらに野口の企画商品としてつくられています。そのせいかセンスが良い感じもしますね。
[ 2016/06/11 ] 絞り | TB(0) | CM(0)