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千切屋治兵衛の付下げ「彫金唐草」(実際に制作したのは倉部さん)の続き

第三千八百六十四回目は、千切屋治兵衛の付下げ「彫金唐草」(実際に制作したのは倉部さん)の続きです。

今日は細部を拡大してみます。

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いちばん上の写真は、立体感がわかるように斜めから撮ってみました。金糸だけの模様ですが、金の色も輝度も糸も膨らみも変化があります。そのために模様が反復であっても退屈しないのだと思います。

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写真2番目は、斜めから近接で撮ってみました。金の色や輝度や糸の立体感が違うのは、糸の太さの違いや刺繍の技法の違いだと分かります。模様が反復的だからこそ、技法にバリエーションが必要なんですね。結局職人さんの修業の結果ということか。

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写真3番目は、ルーペで拡大してみました。いちばん立体的に見えるところは、太い本金糸による駒繍部分です。形も塊で存在感があります。さらに留め糸を朱色にして目立つようにしています。金の色が同じでも留め糸を朱色にすると金の色が派手に見えるのです。

一方、生地の目に沿って一目空けて繍う技法を菅繍といいます。菅繍は生地に密着しているように見えるので、刺繍というより織物のようです。そのため立体感を感じず後退しているように見えます。

この作品では、前に出てくるように見える金駒と、後ろに下がっているように見える菅繍の間に、生地の目に沿って面を埋める金糸の刺繍もあって、3段階で立体感を表現するようになっています。

また一部に、刺繍の上にさらに刺繍を重ねるようにまつい繍をしている箇所がありますね。葉脈のようですが、それも立体感の演出に貢献しています。

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写真4番目は、ルーペで拡大してみました。ここも3段階で立体性を表現しています。左端には縁蓋による印金の表現もあります。刺繍ではないので平面ですから、4段階の立体表現になります。

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写真5番目は、ルーペで拡大してみました。

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写真6番目は、裏側から撮ってみました。赤い糸が見えるのは、朱色の留め糸ですから、立体的な駒繍の裏側です。
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[ 2017/09/11 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の付下げ「彫金唐草」(実際に制作したのは倉部さん)の続き

第三千八百六十三回目は、千切屋治兵衛の付下げ「彫金唐草」(実際に制作したのは倉部さん)の続きです。

今日は細部を紹介します。訪問着の模様には、各所に違う模様が付いていて着物全面を使って物語が展開していくものと、同じ模様が繰り返して行くものtがあります。前者は見ていて楽しいですし、後者は神殿の列柱のような繰り返しの美があります。この作品はもちろん後者で、同じパターンが前姿にも後ろ姿にも袖にも付いています。

倉部さんのこのシリーズは過去に何度か紹介していて、たとえば2015年1月1日(二千九百五十回)や2017年2月15日(三千六百五十七回)で取り上げています。2015年1月1日の作品については、マエミや袖など場所によってすべて模様が違い見る楽しみがあります。しかし作る側の事情を考えると、模様が変われば余白があって手が抜ける箇所もあるのに対し、この作品のように全部同じだと手を抜く箇所がなくコストの節約ができません。

しかし今回の写真の撮影では、近接で撮った写真を後で見ると、どの箇所もみんな同じなので袖なのか身頃なのかわからず苦労しました。というわけで適当に載せてあります。

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いちばん上の写真はどこかの箇所の近接です。

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写真2番目は、どこかの箇所のさらに近接です。

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写真3番目は、マエミとオクミがつながる辺りの近接です。

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写真4番目は裏側です。
[ 2017/09/10 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の付下げ「彫金唐草」(実際に制作したのは倉部さん)

第三千八百六十二回目の作品として、千切屋治兵衛の付下げ「彫金唐草」を紹介します。実際に制作したのは倉部さんです。

本金糸の精緻な刺繍で、模様の面積比で言えば倉部さんのいちばん高価なシリーズです。手刺繍というのは、人の手のぬくもりを感じるものですが、このシリーズはそんなレベルではなく、ただ職人の限界技を鑑賞するのみです。「彫金唐草」というタイトルがついているのは、本歌は金属の細工で、それを精緻な刺繍で写し取ったという意味でしょう。

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いちばん上の写真は前姿(マエミ+オクミ)です。オクミからマエミにかけて1本、マエミの下の方に1本の2本です。

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写真2番目は後姿です。左下の模様はマエミの下の方の模様から続いてきます。縫い目は背中心で、その背中心をまたいで1本あります。

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写真3番目は袖です。模様が有るのは片袖だけです。

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写真4番目は胸です。模様はこれで全てです。明日は細部をお見せします。
[ 2017/09/09 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

一の橋の付け下げ「紅葉流水」の続き

第三千八百六回目は、一の橋の付け下げ「紅葉流水」の続きです。

今日は細部を近接で撮ってみました。撮ってみたらどこも同じようで恐縮しています。倉部さんの付け下げは、物語として展開していくような意匠ではなく、完成度の高いパーツを繰り返して見る意匠だからしょうがないですね。そこはやはり友禅と繍箔の違いなんじゃないでしょうか。小袖の時代でも、友禅の発明によって、絵画性が高く物語として展開していく小袖の意匠が生まれたのだと思います。

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いちばん上の写真は、マエミの上の方にある紅葉の近接です。繍箔のこの作品でも、赤と緑の2色だけとはいえ、彩色が行われています。しかしこの2色はじつは友禅ではなく、顔料によるものです。顔料の持つ不透明感のおかげで、金箔に負けない存在感が得られているのだと思います。

縁蓋を使った金彩に負けないためには、生地に浸み込む染料の自然な感じより、生地に接着剤で着けた顔料のくっきり感が合いそうです。顔料部分も縁蓋を使っているのでしょうか。

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写真2番目は、オクミにある紅葉の近接です。

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写真3番目は、マエミの下の方にある紅葉の近接です。

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写真4番目は、後姿にある紅葉の近接です。
[ 2017/07/14 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)

一の橋の付け下げ「紅葉流水」(実際の制作は倉部さん)

第三千八百五回目の作品として、一の橋の付け下げ「紅葉流水」を紹介します。実際に制作したのは倉部さんです。

龍田川とも呼ばれる、紅葉と流水のモチーフですが、全くひねりの無いとても平明な表現です。倉部さんの箔と刺繍の加工だけが見どころですね。倉部さんでなければ意味がない作品ですし、倉部さんの凄さを引き立てるには、こんな平明な図案の方が効果的なのかもしれません。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。

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写真2番目は後姿です。

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写真3番目は片袖です。もう片方の袖は無地です。

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写真4番目は胸です。
[ 2017/07/13 ] 繍箔 | TB(0) | CM(0)