花也の付下げ「道長取り更紗模様」の細部

第三千七百三十九回目は、花也の付下げ「道長取り更紗模様」の細部です。

今日は迷宮感覚を味わっていただくように細部を近接で撮ってみました。

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いちばん上の写真は細部の近接です。更紗模様の背景に斑点の模様が有りますが、これが単なる更紗を越えた濃厚な感覚を生んでいるのだと思います。技法としてはダンマル描きで、蝋染特有の半防染という特質を生かしているために、くっきりした友禅と共存できているとともに、遠近関係が成り立ち絵に奥行きが生じているのです。

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写真2番目は細部の近接です。一部の花や葉の輪郭は、友禅の白い糸目ではなく青い輪郭線になっています。これは仕上げ段階で糸目の上から筆で描かれたもので、技法で言えば辻がなどにつかわれる「描き絵」です。

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写真3番目は細部の近接で、斜めから撮ってみました。一部の輪郭線は銀彩になっています。普通の友禅であれば金彩にするところですが、青系に合わせるため銀彩になっています。そのため涼し気な感じも生じ、単衣で着られそうです。

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写真4番目は細部の近接です。着物雑誌の写真のように生地にしわを寄せて撮ってみました。

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写真5番目は細部の近接です。マエミ辺りで、花弁に銀糸のあしらいがあります。

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写真6番目はほぼ同じ場所の比較です。比較のために多色作品のほぼ同じ場所の写真を掲載してみました。こちらは熱帯雨林に紛れ込んだような雰囲気です。

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写真7番目は細部の近接です。

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写真8番目は同じ場所の比較です。チラッと見ただけでは、同じ図案だということは気が付かないのではないでしょうか。
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[ 2017/05/08 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「道長取り更紗模様」の続き

第三千七百三十八回目は、花也の付下げ「道長取り更紗模様」の続きです。

昨日は帯より下の模様の繋がりを追求してみましたが、今日は袖や胸など胸より上の模様を撮ってみました。反物状態の付下げの柄合わせができなくては呉服屋さん失格ですが、じつは今回ちょっと迷いました。普通の付下げ(実質は訪問着)の模様は起承転結あるいはメリハリがあるものですが、この付下げのばあいどこも雰囲気が同じで、写真を撮っても後で見るとそれがどこの写真だかわからないんですね。富士の樹海で迷ったような気分でした。

この作品を見た時の眩暈がするような迷路感覚は、単に模様が混みあっているというだけでなく、迷宮のような世界を形成しているからだとわかりました。文学でもデザインでも迷宮好きという人はいるもので、今日は各部、明日は細部を紹介しますが、ボルヘスでも読むような気持ちで見ていただければありがたいです。

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いちばん上の写真は袖です。

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写真2番目は衿です。

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写真3番目は胸で、上の衿の写真から繋がります。

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写真4番目は、もう片方の袖です。

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写真5番目は参考図版です。すでに販売済ですが、今回の作品の元になった多色の作品です。後姿部分ですが、多色にありがちなケバい感じはなく、あくまで上品です。迷宮度は増していますね。
[ 2017/05/07 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「道長取り更紗模様」

第三千七百三十七回目の作品として、花也の付下げ「道長取り更紗模様」を紹介します。

濃厚な更紗模様を道長取りしたものです。以前、多色の作品として紹介したことがありますが、今回は青系の単色としてつくられました。

なぜ更紗が濃厚に見えるのか、それは友禅、ダンマル、銀彩、描き絵、刺繍と京友禅にある技法が思いつくものはほとんど使ってあるからです。手間のかかるものなので、このような様式の作品を制作していた悉皆屋さんは一社だけでしたが、廃業することになりこれが最後の作品になりそうです。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。道長取りは、帯より下では2段になっています。模様面積はかなり広いです。

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写真2番目は、上の写真の続きで脇縫辺りです。

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写真3番目は、上の写真の続きで背中心辺りです。背中心を越えた辺りで、下の段は裾に到着して終わります。

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写真4番目は、上の写真の続きで下前になります。下前に至って上の段の模様も裾に到着し、模様が終わります。
[ 2017/05/06 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の名古屋帯「高砂」(実際の制作は倉部さん)の帯合わせ

第三千七百三十四回目は、千切屋治兵衛の名古屋帯「高砂」(実際の制作は倉部さん)の帯合わせです。

「高砂」というのは能の演目というよりも、結婚式の時におじいさんが歌うイメージで、そのために結婚式専用のように誤解されてしまいます。さすがに最近の結婚式ではそういうことはないですが、時代劇の結婚式のシーンでは必ず、合図のように背景に「高砂やあ~この浦船に帆を上げてえ~」と流れていますね。今日は紬と合わせてみることで、結婚式専用でないことを示してみました。

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いちばん上の写真は、小岩井工房の上田紬を合わせてみました。手織り・草木染の紬ですが、配色や雰囲気に都会的なところが有るのが特長だと思います。池内淳子さんなど女優さんたち御用達としても知られていて、商品は問屋や小売屋を通さず直接個人に販売しています。信州旅行を兼ねて購入する方が多いのではないでしょうか。

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写真2番目は、郡上紬を合わせてみました。手紡ぎ糸、手織り・草木染の紬で、けっこう高いものです。良心的な店でも50万円ぐらい。郡上紬も配色や雰囲気に都会的なところが有りますね。

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写真3番目は、大城広四郎の琉球絣を合わせてみました。南風原町の工房です。現在は大城広四郎の息子の代になっていて、「大城広四郎工房」となっています。

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写真4番目は、秋山真和さんの「綾の手紬」を合わせてみました。「綾の手紬」は秋山さんのブランドで、宮崎県綾町で制作しています。この作品は輝くような発色の藍染の糸を使った花織です。

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写真5番目は、佐藤トシさんの南部紬を合わせてみました。胡桃と藍で染めた糸で織った縞です。岩泉町で手織り・草木染で制作していた作家ですが、現在は制作していないのではないでしょうか。

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写真6番目は、大城哲(さとし)さんの琉球絣を合わせてみました。大城広四郎と同じ南風原町に工房があります。大城カメ→清栄→哲と続いていて、大城カメが有名だったんですね。
[ 2017/05/03 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

野口の振袖の続き

第三千七百一回目は、野口の振袖の続きです。

今日は個別の花の丸を近接して撮ってみます。今回のような古典通りの花の丸をパーツとして並べた作品は、全体としての意匠には意味がないわけですから、個別の花の丸を絵として鑑賞するしかないですね。

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いちばん上の写真は、左の外袖の模様です。躍動感のある絵として上手な牡丹だと思います。下のそれぞれの花の丸ですが、菊は高貴ですし、桜はかわいいし、楓にはモダンな雰囲気があります。それぞれの花の長所をちゃんと描きこんでいるんですね。下手な絵というのは、花は種類によって、かわいいとか、高貴とか、それぞれの長所があるはずですが、その描き分けが出来ていないものです。

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写真2番目は、右の外袖の模様です。2つあるうちの上の方です。

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写真3番目は、右の外袖の模様です。2つあるうちの下の方です。

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写真4番目は、肩にある模様です。この桜を見ると、あくまでかわいいのであって高貴とは感じないですよね。牡丹とか菊とはちゃんと描き分けてあるんですね。

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写真5番目は、内袖に有って、今回の全体の写真では見えません。

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写真6番目は、内袖に有って、今回の全体の写真では見えません。

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写真7番目は参考図版です。江戸時代の小袖にも花の丸模様を配した作品はありました。現代の振袖よりむしろ花直丸が大きいぐらいの大胆なものです。刺繍が多用されていますが、現在の作品では残念ながら省略されています。疋田については継承されていますね。
[ 2017/03/31 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)