龍村の絽の名古屋帯「花音」の細部で

第三千七百二十一回目は、龍村の絽の名古屋帯「花音」の細部です。

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いちばん上の写真は、金の花火と銀の花火の近接です。

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写真2番目は、金の花火をルーペで撮ってみました。

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写真3番目は、もっと拡大してみました。金の花火は、ベージュの絹糸の中に細い撚り金糸を混ぜて表現してありました。絹糸が持つ自然の光沢に金糸で輝きを補充している感じです。他に平銀糸も併用してあります。また、金の花火には、地味な色の糸も併用してあって、奥行きが表現されていますが、その地味な色の糸は地と同じような色でありながら、光沢だけで見えています。

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写真4番目は、銀の花火をルーペで撮ってみました。こちらはグレーの絹糸の中に細い撚り銀糸が混ぜてあります。また平銀糸も併用されています。奥行表現的な地味な糸は使ってありません。

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写真5番目は、背後から光を当てて地の組織を撮ってみました。3本絽であることがよくわかります。3本絽は絽の中でいちばん隙間率が高いはずですが、龍村のばあいは緯糸が太く撚った糸であるためか、あまり隙間があるように感じないんですけどね。
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[ 2017/04/20 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「花音」

第三千七百二十回目の作品として、龍村の絽の名古屋帯「花音」を紹介します。

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いちばん上の写真はお太鼓です。黒地に金と銀だけの花のような模様です。花火でしょうか。

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写真2番目は腹文です。

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写真3番目は、お太鼓の近接です。

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写真4番目は、腹文の近接です。

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写真5番目はタイトル部分です。「花音」とありますが、花は音は出しません。音を出す花と言えば唯一花火で、絽にふさわしい夏の風物がテーマというわけです。

本来織物というのは、色や形を表現できても音は表現できないわけですが、龍村の帯のタイトルには意外に音に関係するものがあります。このブログで過去に紹介した作品では「花韻」や「颯音」がありました。「颯音」は1枚の楓の葉が散っている図案で、林の中を吹き抜ける爽やかな風の音を聴け、という意味だったと思います。今回の作品で言えば、ドンという花火の音が聞こえてきて
夏の夜の涼しさを感じたら成功というところですね。
[ 2017/04/19 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「飛鳥間道」

第三千六百三十五回目の作品として、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を紹介します。

龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を紹介します。「飛鳥間道」というのは龍村の商標で、一般的には、法隆寺に伝来する蜀江小幡の手と言われる部分に使われている裂です。「飛鳥間道」自体は、かつてこのブログで紹介したこともあり、今回は色違いのバージョンです。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真2番目は、お太鼓部分の近接です。

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写真3番目は裏側です。模様部分は絵緯糸であるため、裏には渡り糸が有ります。

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写真4番目は、絵緯糸の部分を拡大してみました。いちばん上の写真で見ると、絵緯糸の部分が輝いて見えるので金糸と勘違いしてしまうほどですが、拡大してみれば普通の絹糸で、輝いて見えるのは絹の自然な光沢です。

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写真5番目は、これまで発売されていたバージョンです。

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写真6番目は、龍村の光波帯「太子菱繋文錦」です。色も技法も全然違いますし、タイトルも違うので、ちょっと見ただけでは気が付きませんが、よく見ると全く同じ意匠です。

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写真7番目は、法隆寺に伝来する蜀江小幡です。幡の手の部分がこの裂の本歌です。龍村の手により復元も行われており、その復元裂は東京国立博物館法隆寺館にあります。本歌と復元裂は緯錦ですが、名古屋帯の模様表現は絵緯糸、光波帯は経錦で織られています。また、胴の部分の裂と縁の部分の裂も光波帯として発売されています。
[ 2017/01/24 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

第三千六百十九回目のおまけ

第三千六百十九回目のおまけです。

上代裂の模様の輪廻について、龍村の裂で説明してみます。

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いちばん上は、主文と副文が同じぐらいの大きさで差が無い例です(天平相華文錦)。

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写真2番目は、主文が膨張しと副文と差が生じた例です(天平狩猟文錦)。今回の帯はこのパターンですね。ただし主文が2種類あります。主文が2種類あるものは上代裂にもあり、有名なのは「円文白虎朱雀錦」です。

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写真3番目は、「円文白虎朱雀錦」です。主文が膨張しすぎて副文はつぶれそうです。

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写真3番目は、主文が膨張しすぎて崩壊しつつある例です(山羊花卉文錦)。 これが進むとただの散し模様になり、やがてそれぞれの模様に大小の差がついて、主文と副文が生まれます。
[ 2017/01/08 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

都織物の袋帯「向かい鳳凰」

第三千六百十九回目の作品として、都織物の袋帯「向かい鳳凰」を紹介します。

都織物は、西陣織物工業組合証紙番号385です。この作品は、向かい鶴ならぬ向かい鳳凰、華文、花菱文という伝統意匠から成っていますが、配色がパステルカラーを思わせ、モダンな雰囲気になっています。都織物の帯は、マイセンとかヘレンドとか洋食器の配色を思わせるものが多いですよね。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅として撮ったものです。鳳凰が向かい合っている模様と華文とがあって、それが交互に丸紋として並んでいます。その丸紋の並びによって生じる隙間を、花菱文がぴったりと埋めています。このような意匠は、上代裂(正倉院裂と法隆寺裂がほとんど)によく見られるパターンです。主要な丸紋を主文、隙間を埋める菱文を副文と言います。

古代の織物の意匠の変遷を見ると、主文と副文が同じぐらいの大きさのものもありますが、主文だけが膨張して副文が衰退してしまったものもあり、さらに主文が膨張しすぎて崩壊し、副文と混じってただの散し模様になってしまったものもあります。その後は、散し模様の各要素に大小の差がついて、再び主文と副文が生まれ、模様のパターンが輪廻するのだと思われます。

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写真2番目は、主文に当たる向かい鶴の模様に近接してみました。向かい鳳凰は金糸と白のみ、周りはパステル調のカラーで桜唐草・梅唐草・菊唐草・青海波という和模様が囲んでいます。色はすっきりしていますが、模様は盛りだくさんです。

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写真3番目は、主文に当たる華文の模様に近接してみました。華文は金糸と白のみ、周りはパステル調のカラーで七宝や松など4つの和模様が囲んでいます。向かい鳳凰の模様と同じパターンですね。

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写真4番目は、副文に当たる花菱文に近接してみました。周囲を囲む4つの丸紋からできるスペースを使って、花菱文を形成しています。花の周りの放射線は羊歯文のようにも見えます。もともと隙間を生かした模様ですが、隙間さえも重層的に使っています。

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写真5番目は、向かい鳳凰にさらに近接してみました。鳳凰模様の核心部分は金糸と少しの白糸だけで織られていますが、金だけで色が無くても模様が識別できるのは、金の色の違い(より黄色っぽいところと白っぽいところ)、撚り金糸と平金糸という糸の形状の違い、撚り金糸の太さと密度の違い、この3つの違いがあるからです。金糸は形状が違えば光の反射の仕方が違い、色も違うように見えるんですね。

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写真5番目は、向かい鳳凰の近接を拡大してみました。撚り金糸が嵐のように使われています。色や太さが違うものも使われています。

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写真5番目は、向かい鳳凰の近接を拡大してみました。平金糸と撚り金糸の違いです。
[ 2017/01/08 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)