橋本テルの紗の袋帯「芳玉」

第三千七百四十七回目の作品として、橋本テルの紗の袋帯「芳玉」を紹介します。

夏の着物を着る時期は、7月と8月の2か月だけですが、具象画である植物文様を選ぶと、前半の百合や鷺草と後半の撫子や萩とで植物の種類が変わり、2通り揃えないといけないことになりかねず、とても割が悪いです。対処法としては、1つは迷ったら後半に合わせること、もう1つは夏を通して着られる波や千鳥を買うことです。

今日紹介する西陣の証紙番号602の橋本テルの紗の袋帯は、さらに合理的で、段文に「芳玉」と名付けられた丸い模様が並んでいるだけですから、いつでも大丈夫です。しかも地色は白で、模様は金糸と銀糸だけですから、着物がどんな色でも対応できます。とりあえず夏の帯を1本買わなくちゃ、という人にちょうど良い帯ですが、けっこうお洒落で馬鹿になりません。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅として撮ったものです。白い地に、平金糸が織り込まれた金の段と平銀糸が織り込まれた銀の段があります。金の段には撚金糸で丸い模様が織り込まれています。銀の段には撚銀糸で丸い模様が織り込まれています。

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写真2番目は近接です。丸い模様には立体的なものとそうでもないものがあり、変化を生んでいます。単調な繰り返しになるのを避ける工夫です。

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写真3番目はもっと近接です。

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写真4番目は金の段のいちばん立体的に見える丸い模様の拡大です。地の平金糸に対し模様は撚金糸であるため、立体的に見えるのです。撚金糸は金糸ですが、写真に撮ると銀に見えます。もともと平金糸に比べ白っぽい金色ではあるのですが。

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写真5番目は銀の段の拡大です。丸い模様は撚銀糸かと思いましたが違いました。じつは白い絹糸でその両縁が細い撚金糸でサポートされていたんですね。立体感を感じないのはこのような形状になっているからでした。糸を操ることでいろんな視覚効果を生むのは西陣の基本技のようです。

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写真6番目は、品質表示ラベルです。日本製なんですね、立派なことです。
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[ 2017/05/16 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「花音」の細部で

第三千七百二十一回目は、龍村の絽の名古屋帯「花音」の細部です。

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いちばん上の写真は、金の花火と銀の花火の近接です。

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写真2番目は、金の花火をルーペで撮ってみました。

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写真3番目は、もっと拡大してみました。金の花火は、ベージュの絹糸の中に細い撚り金糸を混ぜて表現してありました。絹糸が持つ自然の光沢に金糸で輝きを補充している感じです。他に平銀糸も併用してあります。また、金の花火には、地味な色の糸も併用してあって、奥行きが表現されていますが、その地味な色の糸は地と同じような色でありながら、光沢だけで見えています。

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写真4番目は、銀の花火をルーペで撮ってみました。こちらはグレーの絹糸の中に細い撚り銀糸が混ぜてあります。また平銀糸も併用されています。奥行表現的な地味な糸は使ってありません。

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写真5番目は、背後から光を当てて地の組織を撮ってみました。3本絽であることがよくわかります。3本絽は絽の中でいちばん隙間率が高いはずですが、龍村のばあいは緯糸が太く撚った糸であるためか、あまり隙間があるように感じないんですけどね。
[ 2017/04/20 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の絽の名古屋帯「花音」

第三千七百二十回目の作品として、龍村の絽の名古屋帯「花音」を紹介します。

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いちばん上の写真はお太鼓です。黒地に金と銀だけの花のような模様です。花火でしょうか。

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写真2番目は腹文です。

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写真3番目は、お太鼓の近接です。

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写真4番目は、腹文の近接です。

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写真5番目はタイトル部分です。「花音」とありますが、花は音は出しません。音を出す花と言えば唯一花火で、絽にふさわしい夏の風物がテーマというわけです。

本来織物というのは、色や形を表現できても音は表現できないわけですが、龍村の帯のタイトルには意外に音に関係するものがあります。このブログで過去に紹介した作品では「花韻」や「颯音」がありました。「颯音」は1枚の楓の葉が散っている図案で、林の中を吹き抜ける爽やかな風の音を聴け、という意味だったと思います。今回の作品で言えば、ドンという花火の音が聞こえてきて
夏の夜の涼しさを感じたら成功というところですね。
[ 2017/04/19 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の名古屋帯「飛鳥間道」

第三千六百三十五回目の作品として、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を紹介します。

龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を紹介します。「飛鳥間道」というのは龍村の商標で、一般的には、法隆寺に伝来する蜀江小幡の手と言われる部分に使われている裂です。「飛鳥間道」自体は、かつてこのブログで紹介したこともあり、今回は色違いのバージョンです。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真2番目は、お太鼓部分の近接です。

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写真3番目は裏側です。模様部分は絵緯糸であるため、裏には渡り糸が有ります。

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写真4番目は、絵緯糸の部分を拡大してみました。いちばん上の写真で見ると、絵緯糸の部分が輝いて見えるので金糸と勘違いしてしまうほどですが、拡大してみれば普通の絹糸で、輝いて見えるのは絹の自然な光沢です。

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写真5番目は、これまで発売されていたバージョンです。

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写真6番目は、龍村の光波帯「太子菱繋文錦」です。色も技法も全然違いますし、タイトルも違うので、ちょっと見ただけでは気が付きませんが、よく見ると全く同じ意匠です。

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写真7番目は、法隆寺に伝来する蜀江小幡です。幡の手の部分がこの裂の本歌です。龍村の手により復元も行われており、その復元裂は東京国立博物館法隆寺館にあります。本歌と復元裂は緯錦ですが、名古屋帯の模様表現は絵緯糸、光波帯は経錦で織られています。また、胴の部分の裂と縁の部分の裂も光波帯として発売されています。
[ 2017/01/24 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

第三千六百十九回目のおまけ

第三千六百十九回目のおまけです。

上代裂の模様の輪廻について、龍村の裂で説明してみます。

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いちばん上は、主文と副文が同じぐらいの大きさで差が無い例です(天平相華文錦)。

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写真2番目は、主文が膨張しと副文と差が生じた例です(天平狩猟文錦)。今回の帯はこのパターンですね。ただし主文が2種類あります。主文が2種類あるものは上代裂にもあり、有名なのは「円文白虎朱雀錦」です。

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写真3番目は、「円文白虎朱雀錦」です。主文が膨張しすぎて副文はつぶれそうです。

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写真3番目は、主文が膨張しすぎて崩壊しつつある例です(山羊花卉文錦)。 これが進むとただの散し模様になり、やがてそれぞれの模様に大小の差がついて、主文と副文が生まれます。
[ 2017/01/08 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)