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紫紘の袋帯「琳派枝垂桜」

第四千二十四回目は、紫紘の袋帯「琳派枝垂桜」を紹介します。

今日は織の帯で桜を紹介します。以前紹介した梅や松のシリーズの1本です。このシリーズには、梅、松、桜、楓、菊があります。すべて野中さんのお姉さんのデザインだと思います。

梅と松は地が引き箔で金と銀があります。桜と菊と楓は地が絹地で白と黒があります。値段は引き箔の方が高い設定になっています。

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いちばん上の写真はお太鼓です。

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写真2番目は腹文です。

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写真3番目は、お太鼓の近接です。

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写真4番目は、腹文の片側です。

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写真4番目は、腹文のもう片側です。ピンクの花がある側と無い側があって、かわいい系と上品系が選べるようになっています。

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写真5番目は、花弁にもっと近接してみました。平面的な地に対し、盛り上がるような組織になっていて、立体感がある表現になっています。このシリーズの特徴ですね。

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写真6番目は、木の枝の部分に近接してみました。花の白もすがすがしくて良いですが、技巧的な見せ場はこちらですね。

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写真7番目は拡大です。緯糸に絵緯糸として一目置きに平金糸(ポリエステル)フィルムが使われていて、その金糸は変わらないのですが、それ以外の一目ごとに使われている絹糸に茶と白があって、それによって枝に明暗を作って写生的な表現にしています。
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[ 2018/02/20 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「飾宝円華文」

第四千十六回目は、龍村の袋帯「飾宝円華文」を紹介します。

地色は錆朱ということですが、かなり赤い色で振袖用かと思われます。ですが身に着けると地色はあまり表に出ないので、赤が目立たず普通の訪問着にも使えるような気もします。

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いちばん上の写真は帯の幅を写真の幅として撮ってみました。帯の端のロゴマークとタイトルが見えるところです。タイトルは「飾宝円華文」ですが、これだけでは元々の模様の意味が分かりません。私としては本歌を探したいところで、西洋の装飾パターンの図鑑など見ていたのですが、1冊か2冊見た程度では見つかりませんね。

このようなパターンはたいてい建築装飾か、福音書の写本かなどと思うのですが、龍村のばあい、本歌の形自体はいじらずに、それを重ねて並べることが多いですから、半円型がヒントでしょうか。

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写真2番目も帯の幅を写真の幅として撮ってみました。お太鼓として出る辺りを中心に撮ってみました。

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写真3番目も帯の幅を写真の幅として撮ってみました。できるだけ長く撮ってみました。模様は、青、緑、藤色の3色の繰り返しです。

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写真4番目は近接です。金糸が多く使われているのですが、金ばかりでも単調にならず、模様が立体的に見えるのは、平金糸と撚金糸が縦横に使われており、反射の仕方の違いから色が違いますし、実際に立体性も違うからです。

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写真5番目はもっと近接です。ケルトっぽい紐が絡むパターンですが、2本の紐が、平金糸VS辛子色の絹糸+細い撚り金糸というように分かれていて区別がつきやすくなっています。

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写真6番目は、もっと近接です。

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写真7番目は品質表示です。絹糸が80%とありますが、絹の割合が低いほど光モノが多いということでフォーマル感のある帯ということになります。ポリエステル(金属糸風)が8%というのはポリエステルフィルムで、レーヨン6%はその芯糸です。芯糸があるということは撚金糸として使われているということですね。

指定外繊維(紙)は本金糸の裏の紙ですから、紙のパーセントが多いのは本金が多く使われていると言えます。帯に使われている紙が本金糸の裏打ちの紙とは限りませんが、表示してあるような帯は本金でしょう。

この帯については、かなり光りモノでフォーマル感が強い、金糸については平金糸も撚金糸も同じぐらい使われているということです。この数字で、だいたいこの帯のイメージも沸いてきますし、用途も想像できるんじゃないでしょうか。
[ 2018/02/10 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

河崎工房の袋帯

第三千九百九十五回目は、河崎工房の袋帯を紹介します。

今日紹介する帯は、ピンクと黄色の華文でその境界の役割をする横段は緑色、というかなり激しい配色です。今回まず見ていただきたいのはいちばん下の写真のラベルの「河崎工房」です。ここは龍村の社員が分かれて始めたということで知られています。そう言われてみると龍村っぽいなあという気がしてきますね。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅として撮ったものです。ピンクの部分です。

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写真2番目は、帯の幅を写真の幅として撮ったものです。黄色の部分です。じつはこの帯は、同じ華文が並んでいる図案で、地色がピンクと黄色に交互に替えてあるだけなんですね。織物というのは基本的に繰り返しですね。

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写真3番目は、華文の中心部の近接です。

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写真4番目は、華文の中心部の近接です。

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写真5番目は、華文と華文の間の横段模様の近接です。ピンクと黄色の間に真緑を挟むという配色は、普通はしないですよね。洋服でこんな配色にしたら、子供番組の歌のお姉さんの衣装ですよね。

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写真6番目は拡大です。黄色地の華文の拡大ですが、金色に見える部分は金糸ではなく、茶色い糸に細い撚金糸を添わせるというわりと控えめな表現をしていました。

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写真7番目は拡大です。横段部分の拡大ですが、金色に見える部分は金糸ではなく、黄色い糸に細い撚金糸を添わせているだけでした。この帯はピンクと黄色と緑という極端な配色ですが、それでいて下品なところがないのは、金糸にするようなところを色糸に細い撚金糸を添わせるだけにする、というような控えめな表現にする配慮があるからだと思います。

友禅では、友禅で彩色した模様のうち強調したいところを金彩でくくるというようなことをしますが、ここでは色糸のうち強調したいところに金糸を沿わせていますから、発想は同じですね。

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写真8番目はラベルです。
[ 2018/01/19 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

紫紘の袋帯「琳派松」

第三千九百九十一回目は、紫紘の袋帯「琳派松」を紹介します。

シンプルで都会的な意匠です。図案はシンプルですが、織りの組織を見るといろいろ変化があって、じつはシンプルではないです。今日はだんだんに近接しながらそれぞれのパターンを観察していきます。いろんな小細工をしているのでよく見てください。それが西陣の技巧というものですね。

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いちばん上の写真はお太鼓です。

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写真2番目は腹文です。

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写真3番目は、お太鼓の近接です。

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写真4番目は、お太鼓のさらに近接です。シンプルなばかりでなく、松の枝の真ん中辺りが違う色と織り方になっていて、立体感や明暗を表現しています。

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写真5番目は、松の枝の色と織り方が変わっている部分を近接で撮ってみました。織り方自体が変えてあるのです。

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写真6番目は、グラデーション表現がどうなっているか近接で撮ってみました。織りによるグラデーション表現はだいたいこんな組織になっていますね。

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写真7番目は、金糸で表現された松の幹を近接で撮ってみました。葉に対して幹を地味にするのではなく、金にしてむしろ輝かさせているんですね。

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写真8番目は、出来るだけ拡大してみたところです。

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写真9番目は、地の引き箔部分を撮ってみました。斜め下半分の白い部分が地で、経糸は白い絹糸で、緯糸が引き箔糸です。ちょっと見づらいですが、白に斑に銀箔が付いています。
[ 2018/01/15 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

紫紘の袋帯「密陀絵皮箱」

第三千九百八十五回目は、紫紘の袋帯「密陀絵皮箱」を紹介します。

密陀絵皮箱は正倉院御物で、実物はここで見ることができます。
http://kanjinnodata.ec-net.jp/newpage761.html
http://cardiac.exblog.jp/14313144/
https://kotobank.jp/word/密陀絵-138884

密陀絵というのは、顔料を油で溶いて描くものですから、油彩画ですね。日本の古代に油彩画があったというと意外ですが、玉虫厨子に描いてある「捨身育虎」の絵も密陀絵ですから、美術書などで見てはいるのです。ただ密陀絵と漆絵は区別がつかないことがあって、それは1000年以上灯明が捧げられていたため、どちらも油の成分が出てしまうからだそうです。

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いちばん上の写真は、全通の帯のうちお太鼓として出る部分です。密陀絵皮箱の蓋に描かれている華文です。帯の幅を写真の幅として撮っています。

帯の意匠の構成ですが、ちょっと面白いのです。全体は全通柄で、密陀絵皮箱の蓋に描かれている華文を繰り返し並べています。それは黒地に茶色い絹糸を絵緯糸で入れたものです。

そして全通柄のうち六通に当たる部分だけ白い糸とクリーム色の糸(ともに絹糸)が、絵緯糸として織り込んであります。さらにその六通部分のうちお太鼓に当たる部分だけ、漆箔(正確にはラッカー箔)が使われているのです。

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写真2番目は、上の写真と同じ部分の近接です。華文の中心部のラッカー箔と金の引き箔が使われている部分です。

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写真3番目は、全通の帯のうち六通として模様を付ける部分で、お太鼓として出ない部分です。帯の幅を写真の幅として撮っています。

同じ華文が並んでいる図案ですからお太鼓と同じ模様ですが、引き箔が使われていない分だけ模様が簡素になっています。引き箔の光沢はありませんが、絹の自然な光沢だけでも油絵の少しぬめっとした感じが演出されています。

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写真4番目は、上の写真と同じ部分の近接です。

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写真5番目は、全通の帯のうち六通でない部分です。帯の幅を写真の幅として撮っています。黒地に茶色の模様だけの地味な部分ですが、見えない部分だから無地でも良いところに模様を付けているのですから、けっこう凝っています。

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写真6番目は、上の写真と同じ部分の近接です。華文の中心部です。年配者向きの帯として成り立ちそうですね。
[ 2018/01/09 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)