野口の長襦袢「大桜」

第四千九十八回目は、野口の長襦袢「大桜」を紹介します。

IMG_04863.jpg
いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。反物の幅からはみ出すほど大きい桜の花を絞りらしき技法で表現した長襦袢です。

このようなはみ出す意匠についてですが、長襦袢というのは着物の下着として着るばあい、歩いていて着物の裾がわずかに翻った時と、袖の中が覗けて見える時にしか見えません。袖の中が覗けるときは生地の耳の部分しか見えません。そのため、反物の幅にちゃんと納まった模様は、外から見えるチャンスはないのです。そのためこのようなはみ出す模様が長襦袢の意匠の基本になるのです。

さて、この模様の技法ですが、本当に絞りでしょうか。それとも絞りに似せた型染でしょうか。そういう時は縫い締めの痕跡である針の穴を探します。

IMG_31284.jpg
写真2番目は近接です。模様の輪郭に針の穴があります。

IMG_31283.jpg
写真3番目はもっと近接です。模様に濃淡がある場合は、2度絞っているはずなので、針穴は2重にあるはず。ちょっと怪しいですね。後から針で穴をあけたのも。安い辻が花の訪問着にありがちです。訪問着でこういうのは嫌ですが、長襦袢ならご愛嬌ですね。デザインさえおしゃれならば。
スポンサーサイト

野口の長襦袢「蝙蝠」

第四千八十二回目は、野口の長襦袢「蝙蝠」を紹介します。

「蝙蝠」というのは文字の中に「福」があるということで、中国では縁起の良いテーマということになっています。

全く同じ模様で羽裏もあります。長襦袢を半分に切って羽裏として売るばあいもありますが、長襦袢地を羽裏地に流用すると重く感じて肩がこるという人もいます。肩がこるというのは微妙なことで、とくに気にならないという人もいるし、何十グラムの違いでも察知してしまって我慢できないという人もいます。自分の特性に合わせて考えれば良いと思います。

IMG_04892.jpg
いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。

IMG_04912.jpg
写真2番目は近接です。

IMG_04682.jpg
写真3番目は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。色の淡いバージョンは、淡い地色の着物を着たときに透けて見えないようにするためです。淡い地色の着物を着ることが多い人は、このような色にしておいた方が無難ですね。

IMG_04702.jpg
写真4番目は近接です。

野口の長襦袢

第三千七百五回目の作品として、野口の長襦袢を紹介します。

絞と箔でうさぎを描いたものですが、地紋の違う2種類を紹介します。長襦袢の生地は、表地に使う生地より薄くて軽いのが普通ですが、それでも地紋があるものもあります。地紋によっては、それで着物の胴裏との間に摩擦が生じ、着付けの時に滑らないという効用があるときもありますね。着慣れた人ならどうでも良いことでしょうが、着付け教室の生徒にとっては大事なことだと思います。

IMG_78352.jpg
いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

IMG_78382.jpg
写真2番目は近接です。先日紹介した桜と笹の名古屋帯の地紋と似た市松模様に見える地紋です。これは着物の胴裏との間で摩擦が生じてくれそうですね。

うさぎの形は平凡な楕円形ではなく、両端がちょっと尖っています。これだけのことでも形に感情が生まれるんだと思います。凡人なら、単純な楕円形にしてしまうか、耳の形まで正確に絞ろうと苦心してしまうか、どちらかだと思うのです。耳の表現はあっさりと諦めるかわり、人が考えないような箇所で気を使っているのです。

IMG_78402.jpg
写真3番目は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。こちらは霞の地紋です。

IMG_78412.jpg
写真4番目は近接です。縫い締めしたときの針の痕が見えます。

野口の長襦袢、男物。

第三千七百四回目の作品として、野口の長襦袢を紹介します。決まりはないですが男物ですね。

色と雰囲気から男物としてみましたが、お好きならどちらでも良いと思います。実際に野口でも色違いを売っているでしょうし、そちらは完全な女性用でしょう。この長襦袢についていえば、はっきりした黒も使っているので、淡い地色の着物の下に着たら透けてしまうこともありそうですね。単衣ならなおさらです。

紬地なら大丈夫でしょう。また男物として着るばあい、着物の地色は紺、焦げ茶、チャコールグレーが多いですから支障はないでしょうね。

IMG_94162.jpg
いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ってみました。

IMG_94172.jpg
写真2番目は近接です。

IMG_94182.jpg
写真3番目は、もっと近接してみました。

野口の長襦袢「蝙蝠」

第三千四百十五回目の作品として、野口の長襦袢「蝙蝠」を紹介します。

中国語では「蝙」は「福」と音が同じということですし、「蝠」の文字も「福」を連想されるということで、蝙蝠は中国では縁起が良いとされています。

IMG_93281.jpg
いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。紫色と黄緑色の蝙蝠の飛び柄で、型疋田による表現になっています。

IMG_93291.jpg
写真2番目は、紫色の蝙蝠の近接です。かわいいデザインのなので、もっとはっきり見えるように紹介したいのですが、すべての色が淡いためこんな風にしか撮れませんでした。上に淡い着物を着ても下に着ている長襦袢の模様が透けないように、長襦袢の色は淡いのが基本なのでしょうがないですね。

長襦袢でも地色が濃いものもありますし、模様がはっきりして絵画的に美しいものもあります。そういう長襦袢は、地が厚い紬の下に着るか、フォーマルならば地色の濃いものの下に着るしかありません。着物に合わせて何枚でも長襦袢を買うような人は、何を買っても自由ですが、1,2枚で済まそうという人は淡いものを買っておいた方が無難ですね。

IMG_93312.jpg
写真3番目は、黄緑色の蝙蝠の近接です。