民芸ポーラ絣の近接と拡大

第三千五百二十九回目は、民芸ポーラ絣の近接と拡大です。

ポーラと呼ばれる織物については、昭和に生まれた新しい民芸としてうちでも売っていましたが、ポーラという名称の元であるporal(ポーラル)あるいは、その素材である撚りの強い梳毛糸 (そもうし)について、私はほとんどなじみがなかったので、今回ちゃんと顕微鏡で見てみました。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。淡い水色の経緯の絣模様です。今回仕入れたものには、経緯の絣と縞と経絣だけのものがあります。理論上は経緯の絣の方がはるかに手間がかかって、圧倒的に高価なのですが、今回は同じ値段でした。

但し、経緯の絣の方が反物の幅が狭く、縞または経絣だけの方が反物の幅が広いです。処分されるときは一括で処分されたものでしょうが、織られた年代はかなり違い、経緯絣の方がずっと古いのでしょう。おそらくかつては手間のかかる経緯絣が織られていたのが、近年、縞と経絣だけになって、その後生産中止になる、という歴史だったのだと思います。

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写真2番目は近接です。一部赤が入った経緯の絣です。

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写真3番目は拡大です。わかりやすいように背景に赤い布を敷いてみました。捺染の絣ですが、なんと、絣の足がグラデーションになっています。高級な手括り防染の絣みたいです。こういうところに作り手の姿勢が現れます。彼らがただのカジュアルではなく、高価な民芸作品と同じような姿勢で作っていたという証拠です。

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写真4番目は、さらに拡大です。かなり撚りがかかっています。撚りの強い梳毛糸 (そもうし)ということでしょうか。かなり光沢がありますが、これが絹35%でしょうか。

もう1反、観察してみますね。

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写真5番目は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。縞と経絣の組み合わせです。色は白の他に2色です。

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写真6番目は近接です。絣足は適度にずれて良い感じです。昔の矢代仁の西陣お増しの見本帳にありそうな意匠です。

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写真7番目は拡大です。縞部分です。

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写真8番目は、さらに拡大です。
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[ 2016/10/09 ] カジュアル | TB(0) | CM(0)

民芸ポーラ絣

第三千五百二十八回目の作品として、民芸ポーラ絣を紹介します。

呉服業界でいうポーラというのは、poral(ポーラル)のことで、撚りの強い梳毛糸 (そもうし) で平織りにした毛織物です。さらさらとした手触りで通気性があるので、夏服地用です。

梳毛糸 (そもうし) というのは、じつは私もよくわからなかったのですが、ネットで検索してみると、比較的長い、そろった上質の羊毛を、紡績工程でよくくしけずって繊維を直線状に引伸ばすとともに、各繊維を平行に配列してから、撚りをかけて糸としたものだそうです。普通のウールの糸に比べると、表面がなめらかで毛羽立ちが少ないんだと思います。後日、顕微鏡で撮った写真をお見せします。

民芸ポーラ絣は、かつて夏のウールの着物として織られていたもので、ウール65%、絹35%です。数年前に製造中止になっていて、今は希少な存在です。(ポーラの商標ではない、同じような品質のサマーウールを織っているメーカーはあるようです。) 私は、高梨という問屋のはんぱ市でまとめ買いしました。高梨というのは、野口や一の橋のような尊敬されている問屋でもないですし、取引して名誉なこともないですが、実質はすごい問屋で掘り出し物がありますね。

以前、あちこちの問屋の在庫処分市で、博多帯を仕入れたことがあるのですが、同じような値段で他社のものが全て下のランクの銀や緑の商標だったのに、高梨だけは全て最上級の金の商標で、以来信用するようになりました。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。縞も格子も絣もありますが、これは経絣です。ラベルに赤いマジックで無残な印が付けられ、ヘスター・プリンの緋文字みたいですが、これは元のメーカーが製造を止め、在庫をまとめて処分した際に、それ以前に定価で買ってくれた顧客に迷惑をかけないように付けた烙印ではないかと思います。

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写真2番目は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。墨色地の絣です。

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写真3番目は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。白地で沖縄にあるような絣の意匠です。

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写真4番目は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。縞です。

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写真5番目は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。これはすでに売れているものですが、これを買われた方が、自由が丘シェソワで洋服にしました。
http://www.chezsoi-h.com/made-to-order/
今日も直接リンクできなくてすみません。ぜひさがしてみてください。元が着物であったというのはもう全く分かりません。おしゃれな夏のウールのワンピースです。
[ 2016/10/08 ] カジュアル | TB(0) | CM(0)

近江ちぢみ

第三千五百二十七回目の作品として、近江ちぢみを紹介します。

近江ちぢみは、滋賀県の愛荘町にある川口織物が織っている麻50%、綿50%の織物です。愛荘町というのは、合併を繰り返してできた名前で、もともとは近江上布の産地の秦川村です。「秦」という文字があると帰化人を連想させ、古代から織物の里だったのだろうと思わせますね。

川口織物は、愛荘町に「手おりの里 金剛苑」というのを運営しています。ホームページを見ると、近江上布の歴史や現在がよくわかります。近江上布は高価なものですが、近江ちぢみは機械織りで、近江上布のリーズナブル版という位置づけだと思います。

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いちばん上の写真は、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。

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写真2番目は近接です。モダンな明るい色ですよね。

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写真3番目は拡大です。麻と木綿が50%ずつということです。

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写真4番目は、別の作品を、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。現在は縞と格子だけのようです。

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写真5番目は、別の作品を、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。値段的にリーズナブルなので(ネットショップでも売っているので、検索してみてください。当社でもほぼネットショップと同じ値段で販売しています。)

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写真6番目は、別の作品を、反物の幅を写真の幅として撮ったものです。これはすでに売れているものですが、これを買われた方が、自由が丘シェソワで洋服にしました。
http://www.chezsoi-h.com/made-to-order/
で見られます。私がFC2ブログのフォーマットをよく理解していないようで、リンクにならないので、ご面倒ですが、このURLをコピーして貼ってみてください。

模様が片身代わりになっていて、洋服になったらどうなるのかと思いましたが、上手に処理してます。着物を洋服に改造しているわけですが、元が着物だということは分らないですね。
[ 2016/10/07 ] カジュアル | TB(0) | CM(0)

藤井絞の浴衣

第三千五百二十六回目の作品として、藤井絞の浴衣を紹介します。

当社の浴衣の仕入れは、毎年夏の終わりか秋の始めです。各社とも百貨店に商品を貸しているのですが、シーズンが終わると返品されます。返品された商品は翌年まで持ち越しても良いのですが、職人さんを抱えているメーカーとしては、値引きしてもその年のうちに在庫を処分し、翌年職人さんたちに気持ち良く仕事を出した方が良いのです。そうでないと職人さんの仕事がだんだん減って事業が先細りになってしまいますものね。

今日紹介するのは、そのようにして仕入れた浴衣です。模様が進歩するわけでもないので、来年も販売します。、

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いちばん上の写真は、藤井絞の絞りの浴衣です。小千谷製の麻と綿がほぼ半々の生地を使っています。普通の木綿の生地よりも光沢があって色が綺麗に見える気がします。

これは京都の工房で絞って染められたもので、生地の折りたたみ方を工夫することで、幾何学模様を浮かび上がらせています。最初に面白いデザインを考えて、それを目指して防染の仕方を工夫していくわけですから、辻が花的な発想ですね。

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写真2番目は、藤井絞の絞りの浴衣です。これも小千谷製の麻と綿がほぼ半々の生地を使っています。やはり京都の工房で絞って染められたもので、生地の折りたたみ方を工夫することで、幾何学模様を浮かび上がらせています。丸のデザインの周りに濃い色の枠の模様が見えますが、これは折りたたんだ時の染料の溜まりの痕跡でしょう。技術的に現れてしまうのでしょうが、デザインに取り込んでいます。

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写真3番目は、藤井絞の絞りの浴衣です。これも小千谷製の麻と綿がほぼ半々の生地を使っています。やはり京都の工房で絞って染められたもので、生地の折りたたみ方を工夫することで、幾何学模様を浮かび上がらせています。全く染めていない白地も含めて4色ですが、どう折ったらできるのか素人には全く分かりません。以前、滝川クリステルさんがコマーシャルで着ていたものです。

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写真4番目は、藤井絞の絞りの浴衣です。これも小千谷製の麻と綿がほぼ半々の生地を使っています。これは有松のメーカーに外注して染めたものです。じつは豆絞りの手ぬぐいと同じ技法で染められています。伝統的な手ぬぐいのデザインである豆絞りというのは、今普通に売っているものはプリントですが、本物は有松の板締め絞りなのです。

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写真5番目は、上の作品の近接です。近くに寄ってみると、豆ということがわかりますね。本物の豆絞りの手ぬぐいというのも結構稀少なんですよ。

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写真6番目は、藤井絞の絞りの浴衣です。これも小千谷製の麻と綿がほぼ半々の生地を使っています。これは有松のメーカーの外注して染めたものです。これは嵐絞りと言われるものと、もう1つ何かの技法を使った作品です。明治以降、有松ではさまざまな技法が考案され、たくさんの特許や実用新案が認められています。

その中には、絞りの技法に関するものもありますし、絞りに使う器具の対するものもありますし、絞りの意匠に対するものもあって、よくわからない状態になっています。例えばこの作品についても、私はとりあえず嵐絞りと書きましたが、竜巻絞りではないかと思った方もいるでしょう。技法が違っても出来上がりの意匠は同じ、または技法が同じでも生地のちょっとした巻き方の違いで意匠が違う、ということもあって、私は以前ホームページで分類しようとして断念したことがあるのです。

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写真7番目は、藤井絞の絞りの浴衣です。これも小千谷製の麻と綿がほぼ半々の生地を使っています。これは有松のメーカーの外注して染めたものです。これは最近の人気の雪花絞りですね。板締め絞の1つですが、器具で締め付けて絞ります。

江戸切子のように見えて美しいです。作っているのは全て有松ですが、有松のメーカーが直接販売する木綿製よりも、麻が混じった藤井絞経由の方が光沢があって、より江戸切子っぽく見えますね。

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写真8番目は、藤井絞の絞りの浴衣です。これは私が昨年お客さまに販売したものです。その方が、自由が丘シェソワというお店で洋服にしました。着物でも絵羽にするのは難しいのですが、なんと応用編なのに模様が合っているんですね。
http://www.chezsoi-h.com/made-to-order/

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写真8番目は、藤井絞の絞りの浴衣です。これも自由が丘シェソワのホームページにあります。
[ 2016/10/06 ] カジュアル | TB(0) | CM(0)

三勝の浴衣

第三千三百八十二回目の作品として、三勝の浴衣を紹介します。

今はスーパーで仕立て上がりの浴衣が3800円ぐらいで売られているぐらいですから、呉服屋さんが浴衣を売るのも難しいですね。マーケティング的な発想で言えば、スーパーで売っているものとは差別化すればよいということになりますが、実際に、昔の日本人が長く着物文化を続けて来てくれたおかげで、差別化の材料はいっぱいあります。

今日紹介するのは、伝統的な浴衣専業メーカーの三勝の浴衣です。それぞれの浴衣には、正絹の単衣の四寸(半幅)の博多帯を合わせています。

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いちばん上の写真は、水色地の燕柄に黄緑の無地の博多を合わせています。

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写真2番目は、ちょっと年輩を意識した組み合わせをしてみました。スーパーの既製品の浴衣で上品な年輩向けを探すのは難しいのではないでしょうか。

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写真3番目は菊の模様です。今回は写真として掲載して目を引くような帯合わせをしていますが、実際に着る時は帯をもう少し地味にしたら幅広く着られそうですね。

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写真4番目は、大胆な色の幾何学模様です。意外とこういうのが先に売れたりするんですよね。

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写真5番目は、歌舞伎の演目にもある里見八犬伝の「芳流閣の決闘」のシーンをテーマにしたものです。正絹の訪問着であれば暗示的な表現にするかもしれないですが、カジュアルですから大きく具象的に描いています。地色は夏なのに涼し気にする気はないみたいです。せめて色数を増やさないように同系色にしてみました。
[ 2016/05/14 ] カジュアル | TB(0) | CM(0)