野口の振袖の帯合わせ

第三千七百五十五回目は、野口の振袖の帯合わせです。

今日は色を基準に考えて帯合わせをしてみました。

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いちばん上の写真は、河合康幸の袋帯を合わせてみました。能衣装写しの唐織の帯です。着物と同系色の紫地であることで選んでみました。振袖のような帯合わせは華やかに盛り上げるもので、同系色ですっきりまとめるというのはしないものです。今回はあえてやってみましたが、けっこう受け入れられるのではないかと思っています。

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写真2番目は、しょうざんの袋帯を合わせてみました。徳田義三の図案によるもので、徳田義三ブランドで売ったシリーズの1本です。「しょうざん」というのは、かつて西陣製の高級ウールである「しょうざんウール」がヒットとし、その後は「しょうざん生紬」というヒット作があります。「生紬」という語は、じつはしょうざんの商標にすぎませんが、一般語である玉紬より知られています。それだけ「しょうざん生紬」がヒットしたということです。

しょうざんは、レジャーランドや結婚式場を始め、呉服業界から不動産業などのビジネスに軸足を移していきました。また帯の分野においては中国生産の先駆者の1人でもあり、なんとなく一生懸命ものつくりをする人というよりは、ビジネス上手のイメージがあります。しかしこの徳田義三シリーズはデザインだけでなく素材も技法も凝っていて大まじめに作ったものです。

今回は紫色地ということで選んでいます。

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写真3番目は、じゅらくの「帝王紫」シリーズの極初期の1本を合わせてみました。まだ吉岡常雄さんが存命中で本人のデザインによる作品です。これ自体は手織りのとても凝ったものですが、今の「帝王紫」の現状はネットで検索するとわかります。

「じゅらく」と「しょうざん」は、ブランドとしては似たイメージがあります。しょうざんにおける徳田義三は、じゅらくにおける山鹿清華と吉岡常雄ではないでしょうか。どちらも人気作家を取り込んだブランド戦略だったと思います。かつての日本車におけるジウジアーロデザインみたいなものでしょう。ジウジアーロを看板にするのは今は中国車や韓国車がやっていますよね。

貝紫を使ったというのが売りですから、紫がとても美しい作品です。同系色チャレンジで選んでみました。

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写真4番目は、帯屋捨松の袋帯を合わせてみました。鳴子をテーマにしたもので、「帯屋捨松」のロゴが無い手織りバージョンです。今日手織りバージョンはすべて中国製のようですが、これは昔のもので日本製です。紫を効き色として使っていて、その印象が強いので選んでみました。

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写真5番目は、洛風林の袋帯を合わせてみました。実際に織っているのは帯屋捨松で、当時は洛風林同人だったんですね。洛風林同人のリストにも木村さんの名前がありました。亀甲が並ぶ単純な意匠ですが配色がすごく上手く、さすが洛風林ですね。紫はないですが、模様の色には良く反応しています。

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写真6番目は、服部の「こはく錦」シリーズの当時の最高級クラスの1本「24kオリエント錦」を合わせてみました。この振袖はしぼの大きい縮緬地を使っていて、深い発色が特長ですが、その反対の金属的な輝きを持つ24kの引き箔の帯との取り合わせにしてみました。

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写真7番目は、紫紘の袋帯を合わせてみました。地の経糸が朱色の絹糸なのに対し、全体に絵緯糸として金糸が織り込んであります。そのために全体が朱色に光っているんですね。これは振袖専用か、20代向きの帯だったのでしょう。現代の感覚だと紫ならピンクを合わせたくなるものですが、朱色を合わせるとアンティークっぽい雰囲気になります。目が慣れてくると、これじゃないと着物じゃない、と思えてくるぐらい良いんですよね。
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[ 2017/05/24 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の振袖の帯合わせ

第三千七百五十四回目は、野口の振袖の帯合わせです。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「東大寺花文」を合わせてみました。主文と副文から成る上代の唐華文の基本パターンに取材したものです。ただ副文にクローズアップにしているところに個性があります。大きくて単純な文様が繰り返す、という美しさもありますね。

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写真2番目は、織悦の袋帯「桐桜大紋桃山」を合わせてみました。近世初期の刺繍小袖の文様に取材したものです。帯の幅からはみ出しそうな大きな意匠で、これが歴史ドラマでいうと、信長・秀吉・家康が出る桃山小袖のイメージですね。

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写真3番目は、織悦の袋帯「流水紅葉」を合わせてみました。「龍田川」とも呼ばれる意匠です。大きくて単純な模様の繰り返しで、小細工しなくても美しいものは作れるんじゃないかという気がしてくる帯ですね。

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写真4番目は、織悦の袋帯「印度華文更紗」を合わせてみました。帯の地色は「桜色」と表示されています。優しすぎるピンクで意外な色合わせですが、濃い紫にこんな色をあわせるもありかと思います。

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写真5番目は、龍村の袋帯「招福三友錦」を合わせてみました。模様が大きく縁起の良いモチーフの組み合わせなので、振袖に使いやすいですが、色が淡く上品なので訪問着用としても併用できそうです。そういうのは経済的ですね。

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写真6番目は、龍村の袋帯「瑞鳥遊園錦」を合わせてみました。チュニジアに多く残るローマ時代のモザイクの床や壁のモザイクに取材したものです。チュニジアに多く残るのは、カルタゴ占領後にローマの軍団が集団で入植して計画的に都市を作ったからです。銀色地に赤と緑と黄色と葡萄の紫で模様を織り出していて、あらゆる着物に合わないような帯ですが、ひょっとするとこういうのが芸術というのかなあという気にさせる帯です。

龍村は現在のこの帯を織り継いでいるのですが、今は色がもっと着物に合いそうなものに変わっています。やはり一作目は、純粋な芸術だったんでしょうか。
[ 2017/05/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

橋本テルの紗の袋帯「芳玉」の帯合わせ

第三千七百五十回目は、橋本テルの紗の袋帯「芳玉」の帯合わせです。

今日は写真の使い残しで、小紋や紬を合わせてみます。金糸も使った袋帯ですから紬は難しいでしょうか。

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いちばん上の写真は、千切屋治兵衛の絽の小紋を合わせてみました。帯は段文で、水平方向のしっかりした構造を持った意匠です。着物は長方形を並べた意匠で、やはりしっかりした構造を持っているので、安定感を感じる帯合わせになりますね。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の絽の小紋を合わせてみました。段文の帯に対し、縦縞の着物の組み合わせです。タテとヨコで合わせて十字ですが、こういう組み合わせは良いのか悪いのか、まあいいのかなあというところですかねえ。

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写真3番目は、野口の絽の小紋を合わせてみました。段文の帯に対し、縦長の短冊模様の着物を合わせてみました。今回の3種類の帯合わせは、曲線や斜線を避けてタテヨコだけで構成してみました。

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写真4番目は、花倉織の着尺を合わせてみました。織物の着尺の帯合わせですが、カジュアルに分類される地方の紬は、金銀糸使いの西陣の袋帯に合うかというテーマです。とりあえず、首里の花倉織を合わせてみましたが、首里織は琉球王家の官服で、地方の紬ではありませんから、理屈ではフォーマルでいいはずですね。

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写真5番目は、芭蕉布の着尺を合わせてみました。芭蕉布もまた琉球王家の方が着られていたのでOKと言えるかどうか、ちょっと苦しい言い訳でしょうか。でもベージュの織物は、色が合って、なんとなく自然に見えますね。
[ 2017/05/19 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

橋本テルの紗の袋帯「芳玉」の帯合わせ

第三千七百四十九回目は、橋本テルの紗の袋帯「芳玉」の帯合わせです。

今日は染の着尺(小紋)と合わせてみます。

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いちばん上の写真は、広瀬雄望さんの絽の江戸小紋を合わせてみました。波に千鳥の模様です。江戸小紋というのは汎用性が高く、使い勝手の良い着物です。帯も使い勝手が良いですから、便利どうしの組み合わせです。夏物として一式そろえておき、何を着て良いかわからないときに着たら良いのではないでしょうか。

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写真2番目は、単彩の飛び柄の芒の小紋を合わせてみました。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の絽の一方付け小紋を合わせてみました。指定された箇所で裁つと模様が一定方向を向くようになっています。

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写真4番目は、野口の絽の小紋を合わせてみました。夏物というのは涼し気な模様を付けるものですが、これは江戸時代の小袖の模様を付けています。元が小袖なので、普通の小紋よりフォーマル感が有ります。

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写真5番目は、野口の紋紗の小紋を合わせてみました。紋紗で市松模様になっていて、一部が手挿しで加工してあります。
[ 2017/05/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

橋本テルの紗の袋帯「芳玉」の帯合わせ

第三千七百四十八回目は、橋本テルの紗の袋帯「芳玉」の帯合わせです。

金銀糸を織り込んだ袋帯ですからフォーマル用になります。今回は付下げと染の着尺(小紋)と合わせてみます。紬については、無理かもしれませんが、反面教師的な意味で合わせてみるかもしれません。まず今日は付下げからです。

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いちばん上の写真は、花也の絽の付下げ「松皮菱取りに羊歯文」を合わせてみました。無彩色の地色に糊糸目の乳白色、一部に金彩と金糸の刺繍から成っており、この帯はピッタリですね。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げ「衽付萩」を合わせてみました。実際に制作したのは市川さんです。「衽付」というのは、模様のメインがマエミではなくオクミに偏っているという意味です。自然と模様は縦長で、すらっとして人がすらっと着る着物になっています。

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写真3番目は、野口の紗の付下げ「青楓」を合わせてみました。紅い楓は秋、緑の楓は春のモチーフです。緑の楓は「青楓」で、源氏物語だと「胡蝶」の前半でちらっとその言葉が出てきます。そのために青楓の図案が源氏物語に関係があることもあります。この作品では赤い楓はないですが、半分ぐらい黄色い楓が少しあったりします。そのおかげで夏の期間を前半も後半も乗り切る着物になっています。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げ「鏡裏文」を合わせてみました。実際に制作したのは市川さんです。近世以前の鏡は、今のようにくっきり顔は写りません。そのかわり裏面は美術的な装飾がなされていて、顔を写すという機能だけでなく美術品と考えられて嫁入り道具などに含まれていました。私は子供のころ、歴史の図鑑で三角縁神獣鏡など見たときに、どこが鏡なんだろうと思ったものですが、博物館では裏側を飾っていたんですね。鏡の裏の装飾は、そのまま着物の模様にも使われています。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の絽の付下げ「棒霞」を合わせてみました。実際に制作したのは藤岡さんです。霞を単純な横線で表した図案で「棒霞」とか「線霞」とか言われます。つまらない図案と言ったらそれまでですが、それでも作品がつまらなくないのは、配色が上手であること、手描きの自然な揺らぎがあること、そして糊糸目の軟らかい輪郭をもっているからでしょう。

またこの作品は糊糸目友禅ですが、白い糸目の線は隠してあります。霞というのは空気の流れや湿度によって生じるもので、ぼやっとしています。それに対し白い輪郭線が有っては雰囲気が出ないということで、わざわざ隠しているのです。


[ 2017/05/17 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)