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千切屋治兵衛の名古屋帯「枝垂桜と色紙」(制作は倉部)の帯合わせ

第四千二十三回目は、千切屋治兵衛の名古屋帯「枝垂桜と色紙」(制作は倉部)の帯合わせです。

今日は付下げを合わせてみました。付下げや訪問着など主に手描き友禅で制作される着物は具象的なデザインがメインになりますから、主役しかできない桜の帯との整合性は難しいです。桜の時期に桜の帯を締める人は、桜というテーマに耽溺したいのですから、別の意味を持ちこんでテーマを曖昧にしたくないですものね。

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いちばん上の写真は、野口の付下げ「蝶と桜」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。刺繍だけの作品です。主役は蝶で、脇役の桜は散る桜ということで花弁だけです。帯と合わせてみると、花弁は帯から散ってくるようにも見えますし、花と蝶の組み合わせになって、けっこう良いんじゃないでしょうか。

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写真2番目は、花也の付下げ「千鳥」を合わせてみました。古典的な組み合わせである「波と千鳥」のうち、波を除いた模様です。千鳥は家紋にあるような古典的なパターンではなく、加賀友禅を意識して写生的に描いています。花鳥の組み合わせです。

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写真3番目は、一の橋の付下げ「波兎」を合わせてみました。実際に制作したのは安田さんです。波兎文と花と波の丸文の組み合わせです。省略して花兎文と言ってしまいたいですが、よくみると花兎文はないんですね。波兎は謡曲の「竹生島」が起源、花兎は名物裂の「角倉金襴」が起源と思えば、似ているようでも違うものと言うことになります。

高級品専門の一の橋の中でも、いちばん高価な安田の作品です。うさぎが上品なだけではなくほのかな色気があるんですね。そういうことに余分なお金が払える人の着物だと思います。

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写真4番目は、野口の付下げ「エジプト模様」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。意匠は戦前の図案集にあるものです。同じシリーズの図案であったものを取り方に入れて配したものです。桜と絶対的に無関係なものを合わせてみました。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の付下げ「色紙取り更紗」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。刺繍だけの作品で、模様面積が限定されるので四角い色紙に入れて並べています。桜の時期の空気感とはイメージが合わない更紗を合わせてみました。更紗は本来季節はありませんけどね。

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写真6番目は、花也の付下げ「切金華文」を合わせてみました。着物は、上品でかわいいということ以外、余計な意味がない模様で、桜の相手としてちょうど良い距離感ではないでしょうか。

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写真7番目は、北秀の裾模様を合わせてみました。実際に制作したのは千ぐさ染繍です。着物の格に関係なくワンポイントの着物として、象だけを描いたつもりでしたが、勝手に周囲に模様を付けられて軽い色留みたいな着物にされてしまいました。仲介した北秀の社員がちゃんとこちらの意図を伝えなかったからでしょう。前売り問屋の社員はその程度の能力しかありませんね。これ以後、私は産地の製造卸の社員にしか注文はしなくなりました。

桜に合う動物といえば基本的に象ですね。桜の時期は釈迦の誕生を祝う花まつりで、摩耶夫人は釈迦は生まれる前に象の夢を見たからです。
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[ 2018/02/19 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の名古屋帯「枝垂桜と色紙」(制作は倉部)

第四千二十二回目は、千切屋治兵衛の名古屋帯「枝垂桜と色紙」(制作は倉部)の帯合わせです。

今日は染めの着尺(小紋)を合わせてみました。主役しか演じられない桜のパートナーと言えば縞や格子が良いと思いますが、染の着尺には縞や格子だけでなく、具象的なデザインもあります。どこまで許されるでしょうか。

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いちばん上の写真は、野口の着尺を合わせてみました。格子の色は、帯の青とは同系色となる青と補色となる茶の組み合わせで、配色的には絶妙です。色の合わせ方には同系色で合わせるばあいと補色で合わせるばあいがありますが、両方の要素を持つ合わせ方は二重の鍵を掛けるようなものでとても強いものです。

このようなよろけ格子は、型か手描きか迷うところですが、型継ぎがあるかどうか丹念に見るとわかります。また、よろけのうち特徴のある部分を探して、それが繰り返すかどうか探すという手もあります。

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写真2番目は、野口の蝋染の着尺を合わせてみました。これもよろけ縞ですが、まっすぐな縞の地紋の生地を使っていて、まっすくな縞の地紋の上に染めのよろけ縞を重ねるというアクロバティックなやり方は野口ならではのセンスと思います。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。源氏香の総柄で、季節も関係の無い伝統模様の繰り返しです。このような伝統模様は上品な脇役ですね。

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写真4番目は、野口の着尺を合わせてみました。割り付け文様と型疋田の組み合わせで、季節も関係の無い伝統模様の飛び柄です。野口らしい存在感のある着尺ですが、桜の邪魔はしません。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。鱗文で、季節も関係の無い伝統模様の飛び柄です。これも上品な脇役ですね。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。霞を表す横棒で、桜と霞の組み合わせになります。

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写真7番目は、野口の更紗の着尺を合わせてみました。上の例までは無難な帯合わせでした。ここでは更紗を合わせていますが、日本美強調の桜ワールドに更紗が合うかわかりません。ここでは同系色にすることで、なんとなく見過ごしてくれるかなあというところ。

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写真8番目は、野口の暈しの着尺を合わせてみました。暈しで描いた桜ですが、このような模様暈しは、生地の裏に鉛筆で模様を描き、それを目安にぼかして描きます。桜に桜というテーマを重ねる帯合わせです。桜のイベントのゲストにでも呼ばれないかぎりこういうのは禁忌ですよね。せめてもの救いは、桜のタッチが全然違うことでしょうか。

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写真9番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。枝桜と霞を合わせた意匠で、枝桜の形が帯の桜とよく似ています。帯と着物が同じ絵のようにつながるという禁忌中の禁忌を試してみました。桜の女王とかになって主催者から求められないかぎりこういうことをしてはダメですよね。他人がしているのはちょっと見たい気もしますが。
[ 2018/02/18 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の名古屋帯「枝垂桜と色紙」(制作は倉部)の帯合わせ

第四千二十一回目は、千切屋治兵衛の名古屋帯「枝垂桜と色紙」(制作は倉部)の帯合わせです。

桜を意識する時期に桜の帯や着物を身に着けるのは気持ちの良いものですが、帯合わせは悩みます。桜の帯や着物は、主役しか演じられない女優さんのようなものだからです。いつも確実に脇役を務めてくれるものといえば、無地か縞か格子ぐらいしか思いつきません。

今回の帯に合わせる着物ですが、私は紬にも小紋にも付下げにも合わせたいと思っていますが、紬なら縞や格子がたくさんありますから楽ですが、付下げは具象的な模様があるのが普通ですからパートナーには悩みます。今日はとりあえず紬から。

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いちばん上の写真は、佐藤トシさんの南部紬を合わせてみました。藍と胡桃と紫根で染めた糸で織った縞です。

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写真2番目は、かつての重要無形文化財の証紙がある結城紬を合わせてみました。縞の結城です。値段のランクとしては絣より下ということになります。でも着るときはセンスの方が大事ですね。

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写真3番目は、齋藤光司さんの舘山唐桟を合わせてみました。伝統工芸品として尊敬されている齋藤さんの唐桟については、木綿の縞に箔使いの帯???なんて考える必要は無いように思います。むしろ箔使いの帯で格上げしてお洒落に着て欲しいです。

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写真4番目は、新田機業の紅花紬を合わせてみました。紅花はオレンジ色の花ですが、染料として黄色と赤が得られます。その赤と黄色に藍染を加えると、色の三原色が揃います。それを重染めすれば理論上あらゆる色がつくれるわけです。そこでこのような黒や焦げ茶も紅花紬なのです。新田機業の紅花紬は、伝産マークとしては置賜郡の紬という分類になります。

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写真5番目は、かつての重要無形文化財の証紙がある結城紬を合わせてみました。結城の絣は亀甲のイメージで、その亀甲が反物の幅の何個並ぶかで、八十亀甲とか百亀甲とかランク付けするわけですが、これは細かい絣です。絣の並べ方で斜めの縞ですが、仕立てる時は模様のつながりが気になりますが、適度にずらすのでしょう。

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写真6番目は、かつての重要無形文化財の証紙がある結城紬を合わせてみました。百亀甲の飛び柄です。地色が淡く模様の色が濃いタイプです。このような色は人気がありますが、元々の重要無形文化財の要件である「絣は手括り」というところに抵触していた疑いがありました。花は桔梗に見えますが、このばあい桜の邪魔になるでしょうか。

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写真7番目は、松枝哲哉さんの久留米絣を合わせてみました。松枝さんの明るい青の諧調は人気がありますね。
[ 2018/02/16 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「飾宝円華文」の帯合わせ

第四千十九回目は、龍村の袋帯「飾宝円華文」の帯合わせです。

まず帯合わせの前に、掲載し忘れた写真がありました。帯を裏返して耳の部分を撮ったものです。

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いちばん上の写真は耳の部分です。耳を見るとどんな糸を使っているかわかります。帯自体が手織りの高価な帯なのか、機械織りの量産品なのかはわかりにくいですが、使っている糸によって制作者のコスト意識がわかります。コストのかかる糸を使っている帯は良い帯だということは推測できます。この写真で言えば、金糸の裏は白で本金引き箔を使っていることが分かります。もっとも龍村だから言えることで、安い帯だったらただの金色の紙かもしれませんけどね。

今日の帯合わせは、龍村の帯なので大羊居の付下げと合わせてみました。

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写真2番目は、大羊居の付下げ「花折紙」を合わせてみました。

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写真3番目は、大羊居の付下げ「菱取り華文」を合わせてみました。

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写真4番目は、大羊居の付下げ「花唐草」を合わせてみました。

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写真5番目は、大羊居の付下げ「紅葉の庭」を合わせてみました。

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写真6番目は、大羊居の付下げ「松竹梅紅葉」を合わせてみました。

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写真7番目は、大羊居の付下げ「此の君」を合わせてみました。
[ 2018/02/14 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村の袋帯「飾宝円華文」の帯合わせ

第四千十九回目は、龍村の袋帯「飾宝円華文」の帯合わせです。

今日は帯の赤い色とは合わなさそうな淡い地色の着物を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、野口の訪問着に合わせてみました。実際に制作したのは橋村重彦さんです。糊の糸目も彩色も美しい作品ですが、着ることを考えると、模様の配置が合理的ではないように思います。絵羽で飾ったときに綺麗なように、つい作ってしまったということでしょうか。そういう作品に限って勢いがあって良いんですよね。

帯との関係については、着物の模様に朱があるので、多少の関連性があるというところでしょうか。着物の朱は、中井由来の朱で茶色いですね。

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写真2番目は、北秀の訪問着を合わせてみました。実際に制作したのは大松です。地色は帯の朱色とは全く関連の無い色で、異質な色が飛び込んできた感じです。大松の色というのも存在感のあるものですから、相容れないながらもお互いの存在感でバランスがとれたかなというところでしょうか。

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写真3番目は、花也の訪問着「彩霞」合わせてみました。霞暈しの中に透明感のある色糸で刺繍をしたもの。彩雲みたいな印象です。地色どうしは相いれないですが、刺繍の爽やかな多色に多少の共感があるでしょうか。

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写真4番目は中井淳夫さんの訪問着を合わせてみました。結び熨斗と言われる意匠がありますが、それと同じ配置でありながら結び目を省略した意匠です。結び熨斗は伝統意匠ですが、それを解いたことでモダンな幾何学模様になりました。

帯との関係でいえば、上の3つの例では模様のうちに多少の赤があって、関連する要素がありましたが、この着物はモノトーンで色の関連性はありません。ただただ、赤をぶち込んで勝負した感じです。私はけっこう好きなパターンですが、実際に着るときは勇気が要りますよね。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の付下げ「横付け更紗文」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。精緻で春が大人しい倉部さんの刺繍だけの作品です。これもいきなりな帯合わせですね。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の付下げ「山桜に桜蝶」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。箔と刺繍を合わせたもので、箔で面積を稼いでいるので、上のような刺繍だけの作品より華やかです。桜蝶というのは、散る桜の花弁を蝶に見立てたもの。まだ朝晩はうすら寒い桜の時期に着るなら、赤を合わせることでより春めくでしょうね。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の付下げ「金描き草花酒器」を合わせてみました。実際に制作したのは倉部さんです。神に収穫を感謝する秋の祭りをテーマにした着物です。酒器は人間が飲むのでなく神さまへのお供え、植物は萩と共に稲も描かれています。
[ 2018/02/13 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(2)