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龍村美術織物の間道の袋帯「郁芳間道」と帯合わせ

第三千九百二回目は、龍村美術織物の間道の袋帯「郁芳間道」と帯合わせです。

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いちばん上の写真は、今日のテーマの「郁芳間道」です。

今日は縞と間道はどう違うのかという基本的な話からです。間道は、中世以後、主に中国から舶載された名物裂の一種です。絹製で茶入れの仕覆などに使われたため茶人によって蒐集されたため上品で文化的なイメージがあります。一方、縞は近世以後、東インド会社を通して輸入されたインドの木綿の裂です。縞というのは島を渡って日本まで来たという意味です。それは高級品でしたが、江戸後期になると川越など関東各地で織られるようになり、江戸で流行したためカジュアルで粋なイメージがあります。

では、縞を入手した人は「これは中世からある間道じゃないか」とは思わなかったのでしょうか。私は「思わなかった」と思います。当時は図録や美術書はないですから、茶事に呼ばれない人は、仕覆として使われている間道を見る機会はなく、そういうものが中世から日本にあるとは知らなかったと思います。

元々、ストライプ(縞というと紛らわしいのでストライプといいます)は染織の世界では、無地の後に現れた人類最初の模様です。糸を染める時は大量に染めると絡まってしまうため、一定の量ずつ染めますが、それを一綛(かせ)といいます。何かの都合で違う染料で染めた綛をいっしょに織ってしまうとストライプ模様ができるからです。

日本にも古代から伝わっていて、正倉院には「長斑(ちょうはん)」と「繧繝(うんげん)」があります。長斑というのは、長い斑(まだら)と書きますから、まさにストライプですね。これはくっきりと違う色を並べたものです。一方、繧繝は似た色を並べてグラデーションにしたストライプを言います。私たちはどんな色を並べてもストライプはストライプですが、古代人は色の並べ方で違う模様と認識していたのです。古代人の方がデザイナーとしての素養があるみたいですね。

さて、中世に間道を入手した人は、「これは古代からある長斑または繧繝じゃないか」と思わなかったのでしょうか。これは断言できますが、絶対に思わなかったのです。長斑も繧繝も正倉院に有って誰も見ることはできなかったのですから。
上代の裂は正倉院よりはるかに少ないですが法隆寺にも有って、江戸後期ぐらいから資金稼ぎのためにしばしば出開帳が行われ、江戸の人も見る機会があったようです。それでも縞と結びつけて考える人もいなかったんじゃないでしょうか。

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写真2番目は、大羊居の色留袖「雪庭」を合わせてみました。

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写真3番目は、花也の桜をテーマにした訪問着に合わせてみました。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の訪問着「光悦色紙」を合わせてみました。実際に制作したのは、中井淳夫さんです。

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写真5番目は、千切屋治兵衛の訪問着「取り方椿」を合わせてみました。実際に制作したのは、中井淳夫さんです。

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写真6番目は、千切屋治兵衛の訪問着「神坂雪佳・白川女」を合わせてみました。実際に制作したのは、中井淳夫さんです。

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写真7番目は、加賀友禅作家、高平良隆さんの訪問着「山帰来」を合わせてみました。
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[ 2017/10/19 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村美術織物の間道の袋帯「彩香間道」と帯合わせ

第三千九百一回目は、龍村美術織物の間道の袋帯「彩香間道」と帯合わせです。

龍村の間道は、龍村の方針が変わらないかぎり、当店では定番的に扱いたいと思っています。今日紹介する「彩香間道」は、以前紹介したことがありますが、その後も売れたり仕入れたりしています。過去の記事を遡るとこの帯もあると思いますが、今回新たな帯合わせをしているので、間道シリーズとしてご覧ください。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅として撮ってみました。
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写真2番目は、野口の訪問着に合わせてみました。実際に制作したのは橋村重彦さんです。さまざまな植物が全面に描かれた訪問着には、どんな植物文の帯でも重なってしまいます。しかしながら具象的な模様というのは、たいてい植物が付いているものですね。こういう時は間道が便利です。ただの縞では軽くなりますが、龍村というブランドを重しにします。

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写真3番目は、橋村重彦さんの訪問着に合わせてみました。野口の企画ではなく自分の作品として制作したものです。江戸時代にある桜模様の小袖をほぼ写したものです。桜の時期に桜の着物を着て、桜に耽溺するならば、帯の模様はテーマを薄めてしまう邪魔者にすぎません。かと言って帯まで桜では頭が悪そうですし。なるべく意味の無いものをと思えば帯は間道ですね。

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写真4番目は、京正の訪問着「暈しに七宝文」を合わせてみました。実際に制作したのは安田です。全体がぼかしで夢の中から出られなくなったような雰囲気の訪問着です。きりっとした間道で、団子の串の役割をさせてみました。

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写真5番目は、大羊居の付下げ「此の君」を合わせてみました。竹だけをテーマにした着物で、筍の生える美しい季節の空気を描いたものです。この空気を邪魔しない帯ということで、間道を選んでみました。

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写真6番目は、久米島紬を合わせてみました。泥染ではない草木染です。天然素材のナチュラル感のある紬ですが、あえて民芸っぽく合わせない帯合わせをしてみました。

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写真5番目は、林宗平の「越後繭布」を合わせてみました。塩沢紬の仲間ですが、糸に真綿糸ではなく玉糸を使っていてすっきりしています。青が綺麗な作品なので、それを生かすような帯合わせを考えてみました。間道の色には茶も青もあり、補色関係も同系色関係も作れています。
[ 2017/10/18 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

龍村美術織物の間道の袋帯「東雲間道」の帯合わせ

第三千九百回目は、龍村美術織物の間道の袋帯「東雲間道」の帯合わせです。

今日は染めの着尺に合わせてみました。

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いちばん上の写真は、野口の手挿しの着尺を合わせてみました。輪郭だけ型を使ったもので、実際に制作したのは岡重です。

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写真2番目は、野口の手挿しの着尺を合わせてみました。輪郭だけ型を使ったもので、実際に制作したのは岡重です。

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写真3番目は、千切屋治兵衛の着尺を合わせてみました。実際に制作したのは大和さんです。5月ごろに着るとお洒落な青楓で、生地は生紬なので単衣でも良いです。

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写真4番目は、岡重の手挿しの着尺を合わせてみました。輪郭だけ型を使ったもので、野口の商品として販売されていたこともありますが、これは岡重のブランドで販売されました。

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写真5番目は、野口の更紗の着尺を合わせてみました。茶系の帯に対し、水色地の着尺で補色関係になります。

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写真6番目は、野口の市松取りの着尺を合わせてみました。鮫小紋と宝尽くしの市松です。
[ 2017/10/17 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

龍村美術織物の間道の袋帯「東雲間道」の帯合わせ

第三千八百九十九回目は、龍村美術織物の間道の袋帯「東雲間道」の帯合わせです。

今日は紬に合わせてみました。龍村の間道の袋帯は、訪問着にも紬にも合わせることができます。名物裂の間道と思えばフォーマルのユーズに向いたイメージですし、縞と思えば粋な着方もできるイメージがあるからです。

紬と合わせる時に考えることは、着物と帯で縞や格子が重なっても良いかということですね。紬の産地は日本各地どこにでもあるものですが、その多くは縞や格子までであり、絣、特に絵画的な絣ができる産地は限定されています。そのため紬の多くは縞か格子ということになります。間道を合わせる時は縞や格子が重なるリスクを常に考慮しないといけません。

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いちばん上の写真は、森山虎雄さんが藍染をして田中キヨ子さんが織った久留米絣「古代物語」を合わせてみました。重要無形文化財に該当するものですが、森山虎雄さんは藍甕に60回浸けるということで重要無形文化財(記録作成)の指定も受けています。

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写真2番目は、松枝哲哉さんの久留米絣「島うた」を合わせてみました。縞のように見えますが、縞の筋が途中で消えたりしているので、絣技法も使っています。着物と帯で縞と格子が重なることになりますがどうでしょうか。

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写真3番目は、青戸柚美江さんの出雲織「瞬(またたき)」を合わせてみました。格子が交わるところが経緯の絣になっています。

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写真4番目は、青戸柚美江さんの出雲織「豆腐繋ぎ」を合わせてみました。

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写真5番目は、大城織物工場の琉球絣を合わせてみました。カメさんの孫の哲さんの時代のものです。沖縄では格子のことをグバンといいます。碁盤の意味です。そのグバンの中に絣を入れたものを手縞といいます。沖縄を代表する意匠ですが、格子でもありますが、絣もあるので違和感はないですね。

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写真6番目は、大城広四郎の琉球絣を合わせてみました。縞と絣を合わせたもので、綾の中という、手縞とともに沖縄を代表する意匠です。縞が重なるわけですが、絣のおかげで違和感はないというところでしょうか。

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写真7番目は、久米島紬を合わせてみました。細かい格子で、意匠としては帯の格子と相似形になっているように見えます。一方で、地色が濃く離れて見れば無地のように見えるので大丈夫でしょうか。
[ 2017/10/16 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

龍村美術織物の間道の袋帯「東雲間道」の帯合わせ

第三千八百九十八回目は、龍村美術織物の間道の袋帯「東雲間道」の帯合わせです。

今日も仮絵羽の訪問着と色留袖に合わせてみました。

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いちばん上の写真は、野口の訪問着「琳派秋草」に合わせてみました。実際に制作したのは橋村重彦さんです。霞取りと雲取りがあって、それが琳派の秋草と合わさっています。普通は取り方の意匠というのは、取り方の内部だけに模様を配し、模様のあるところと余白とのメリハリをつけるものです。それが取り方の機能ですものね。

それがこの作品では、秋草は取り方を無視して中にも外にも同じぐらいあります。そのために全体の雰囲気がのびのびしているんですね。人は定説があると、それ以外は間違いと思ってしまいますが、発明というのはたいていルール違反ですよね。

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写真2番目は、千切屋治兵衛の訪問着「蔦に柴垣」を合わせてみました。実際に制作したのは中井淳夫さんで、元絵は神坂雪佳です。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の訪問着「取り方椿」を合わせてみました。実際に制作したのは、中井淳夫さんです。

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写真4番目は、千切屋治兵衛の訪問着「吹寄せ」を合わせてみました。実際に制作したのは村田さんです。吹寄せの主役である松葉は、その形状から方向性を示しているように見え、それが直接描くことのできない風の向きを示します。下絵師は、松葉を描くことで風を描くことになるんですね。真っ直ぐすぎると突風ですしね。あちこち向くと絵として落ち着かなくなったりします。渦を巻かせる場合もありますが、適度というのはどこにあるのか、これはどうなんでしょう。

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写真5番目は、北秀の裾模様の着物を合わせてみました。実際に制作したのは千ぐさ染繍です。これは、元々野口真造の図案としてありがちなものを、私が注文して象をメインにつくってみたものです。私としては、象のワンポイントの着物としてつくってみたかったのですが、千ぐさ染繍が勝手に周りに模様を付けてしまったので、不本意ながら地味な色留袖になってしまいました。

私が、自分で注文して着物をつくってみたいと思っている人に教えたいと思っていることは、職人というのは必ず裏切るものと考えて注文した方が良いということです。私は自分で注文すると7割ぐらい失敗します。

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写真6番目は、北秀の訪問着を合わせてみました。実際に制作したのは大松です。2種類の樹木が林立している意匠ですが、1種類は泰山木、もう1種類は花が大きくデフォルメされてよくわかりません。花を大きく描くは自然には逆らっていますが、江戸時代の友禅の図案を踏襲しているので、古典には逆らっていません。
[ 2017/10/15 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)