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紫紘の袋帯「正倉院唐草華文」

第五千九百七十二回目は、紫紘の袋帯「正倉院唐草華文」を紹介します。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅としてお太鼓を撮ってみました。

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写真2番目は、帯の幅を写真の幅として腹文を撮ってみました。

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写真3番目は、インスタ風に撮ってみました。以前私はインスタも書いていましたが、「いいね」もフォロワーも伸びないのでやめていました。でも世間に逆らっても仕方が無いのでまた再開しようと思っています。

インスタは基本的に写真が正方形なので、着物の写真が載せにくいと思っていました。今回、他の呉服店のインスタを真似て斜めに載せるようにしました。簡単なことですが私自身は思いつかなくて、銀座の越後屋さんとかレンカさんを見て気がついたんですよ。越後屋さんは自然体で撮っている感じが良いし、レンカさんは写真の技術のレベルが高いですよね。

もう1つのインスタの特徴はライブ感だと思います。私は作品は正確にさえ伝えれば魅力は自然に伝わるものと考えて、まずまっすぐ撮って、それから近接や拡大をしていました。でも実際の呉服店では、人は反物を解きながら作品に出合い、体に当ててみて好きになるんですよね。インスタ用の写真では反物をちょっと解いた状態から撮り始め、この帯の写真のように身に着けたときのの状態で終わらないといけないと気がつきました。

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写真4番目は、模様部分の近接です。帯全体の地は銀の引き箔ですが、模様部分の地はベージュです。そのベージュは金の引き箔と思えば光らないし、絹糸と思えば光っている気がします。金では光りすぎて下品だし、ベージュの絹糸では華やかさが無くて地味だと思うのですが、ちょうどその中間ぐらいで良い感じなんですね。

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写真5番目は、もっと近接してみました。模様は美しいですが、その美しさの決め手は上品と華やかのバランスの良い地色にあるんじゃないでしょうか。その解明のため次の写真で拡大してみました。

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写真6番目は、模様の地の部分の拡大です。経糸は全体を通っているので銀の引き箔にも合うように白い絹糸ですが、緯糸はベージュの絹糸と引き箔の糸が交互に織り込まれています。引き箔の糸は全部金箔ではなく白い和紙の上に金箔がドット状に貼ってあるのです。この組み合わせで、光るような光らないようなちょうど良い状態が演出されていたのです。

西陣の織物は糸の交わりだけでさまざまな視覚効果を生み出さないといけません。目で見て感じたものは、必ずそう見えるような仕掛けがあるんですね。特撮みたいなこともしますよね。

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写真7番目は、模様を拡大してみました。こちらはキラキラ光る撚金糸も使っていて、立体的で、しかも見る角度で光り方が変わるようにしていますよね。
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[ 2023/10/02 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

秋山眞和の花織と絣のある藍の作品の帯合わせ

第五千九百七十一回目は、秋山眞和の花織と絣のある藍の作品の帯合わせです。

今日は使い残し画像です。

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いちばん上の写真は、新垣みどりさんのロートン織の名古屋帯を合わせてみました。着物は花織とp絣を使っていますから、それと重ならない伝統工芸ということでロートン織を合わせてみました。緯糸の色を少しずつ変えてグラデーションを作り、そこに重なるようにロートン織をしています。その結果不思議な視覚効果を生んでいます。技法は伝統ですが、それに作家が創作を加えた例だと思います。

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写真2番目は、龍村の袋帯「海老殻間道」を合わせてみました。龍村が制作する間道はすべて平蔵ブランドで高島屋が独占的に販売しています。この海老殻間道は唯一「たつむら」ブランドで一般の小売店が販売できるものです。茶系と青系の両方の色が使われているので、たいていの着物に合わせることができる便利なものです。

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写真3番目は、龍村の名古屋帯「飛鳥間道」を合わせてみました。一般名は「繧繝山形文」といい、本歌には色違いもあって、赤いものは法隆寺が所蔵する蜀江小幡にも使われています。間道は訪問着にも使えますが、こんな作家モノの絣にも使えます、使い勝手が良いですね。

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写真4番目は、野口の織りの縞の帯を合わせてみました。実際に織ったのは小千谷です。昨年、日本の風流踊りがユネスコ無形文化遺産に指定されたときに、その1つである小河内の鹿島踊りの衣装が新調されま、私が請け負いました。そのときの帯なのですが織物なのでロットがあり、余分を私が引き取っています。文化庁から補助金をもらっていますが、これを全部売り切らないと採算が合わないんですよね。というわけで33,000円で販売中です。小千谷の織物の帯としてはすごく安いのでどうぞ。3反で着物になります。

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写真5番目は、龍村の名古屋帯「アンデスの神」を合わせてみました。プレインカ文明の1つチャンカイの意匠と思われます。降水量の極端に少ない地域なので繊維の作品も出土するようです。ただ多くはミイラを包んだ布なので、個人で所有するにはちょっと怖い。図案は雨乞いの神ですが願いがかなったら繊維品は残らないでしょうね。

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写真6番目は、錦工芸の名古屋帯「雪の結晶」を合わせてみました。藍の白のすっきりした帯合わせです。初夏に着て汗ばむと青が移らないか心配ですが。
[ 2023/10/01 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

秋山眞和の花織と絣のある藍の作品の帯合わせ

第五千九百七十回目は、秋山眞和の花織と絣のある藍の作品の帯合わせです。

織物は西陣織という中央の文化と各地の伝統工芸という地方の文化に分けることができます。今回の着物は伝統工芸の王道である絣と花織の両方が使ってあるので、伝統工芸で合わせようとすればどうしても重なってしまいますから、今日は西陣の織物を合わせます。

でも中央の文化と地方の伝統工芸という分け方は曖昧ですよね。西陣自体が日本で最大の伝統工芸産地ですし、沖縄の花織はもともと琉球王家の官服ですから中央の文化ですから。そもそも中央の文化と地方の伝統工芸という分け方は、民芸思想が生まれた近代以降のものでしょう。北越雪譜の作者である鈴木牧之は越後上布の問屋の主人でもありますが、「京都の錦にも負けない織物を織る」と書いています。越後上布と西陣織を同じ市場の競争相手と考えていたんですね。

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いちばん上の写真は、織悦の名古屋帯「梅唐草」を合わせてみました。織悦にも名古屋帯がありました。多色ですが見た感じがすっきりしています。良いデザインはみんなすっきりしていますよね、モチーフの種類が多くて意外にすっきりしています。すっきりしていないデザインというのは、迷宮イメージを狙ったデザインかなあ。

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写真2番目は、織悦の八寸の名古屋帯「経錦イカット文」を合わせてみました。織悦に八寸の名古屋帯があったというのは意外ではないでしょうか。イカットは本来は経絣ですが、経錦で織られています。

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写真3番目は、都織物の八寸のすくいの名古屋帯「気」を合わせてみました。都織物は中国で織ったものもありますがラベルできちんと表示してあります。これは日本製です。都織物は中国製でも日本製でもセンスはすごく良いですよね。

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写真4番目は、龍村の名古屋帯「瑞典星陵文」を合わせてみました。瑞典はスウェーデンです。地色で選んでみました。悩んだらとりあえず同系色濃淡にすれば今っぽく見えますよね。

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写真5番目は、龍村の絽の名古屋帯「かすみびし」を合わせてみました。単衣に仕立てて初夏に着ることを前提にしています。花菱文ですが、模様を揺らすことで水面に映った姿を連想させます。水面だから涼し気→夏物ということになるのでしょう。

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写真6番目は、龍村の絽綴の名古屋帯「花流水」を合わせてみました。単衣に仕立てて初夏に着ることを前提にしています。夏の植物のモチーフは、短い季節なのに前半(たとえば鷺草)と後半(たとえば萩)があって厄介です。無視して使うのが良いと思いますが、どちらかということであれば前半に合わせた花を後半にも使うより、後半に合わせた花を前半にも使う方が良いと思います。
[ 2023/09/30 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

秋山眞和の花織と絣のある藍の作品の帯合わせ

第五千九百六十九回目は、秋山眞和の花織と絣のある藍の作品の帯合わせです。

今日は染めの帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、、大羊居の名古屋帯「唐子喜遊」を合わせてみました。大羊居の五節句の着物の一部を取り出したように思いますが、そういってしまうと季節モノになってしまうので、あくまで「唐子が遊んでいる風景」ということで。作家モノの織物に対して友禅の帯を合わせるときは、着物に対抗できるものでないと釣り合いが悪いです。大羊居だったらしっかり受け止めてくれますよね。

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写真2番目は、大羊居の名古屋帯「ミニアチュール」を合わせてみました。イスラム圏の細密画に取材したもので、上の帯と同じで、幾何学的な織物に対して物語性が加えることになります。

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写真3番目は、大羊居の名古屋帯「舞踏会」を合わせてみました。かつて大彦に「舞踏会」というタイトルの訪問着があり、大小のシャンデリアを並べた意匠でした。舞踏会そのものではなく舞踏会の天井をテーマにしたんですね。これはその作品をダイジェストにして帯のお太鼓にしたものでしょう、帯合わせとしては、私としては上の2通りよりこれが良いかな。

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写真4番目は、藤井絞の絞りの名古屋帯「神坂雪佳の金魚玉」を合わせてみました。これは絞ってはいますが、絞った個所を筆で着彩していて染液には浸けていません。今はたいていの辻が花作家は染液には浸けていないと思います。藤井絞の職人さんはいつもきちんと染液に浸けているので、このようなニセの絞り(空絞り)は珍しいです。ふだん染液に浸けている人が、染液に浸けない絞りをすると絵としてはさらに上手になりますね。それだけ染液に浸けるということは負担が大きいのです。

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写真5番目は、藤井絞の辻が花写しの名古屋帯を合わせてみました。絞りと描き絵のシンプルな作品です。絞りは絞ってから染液に浸けるので模様が白抜きになるものですが、これは地は生成りの色で模様に色があります。染液に浸けない染なら楽な作品ですが、染液に浸けるなら模様以外の広い面積全部を絞っていることになります。これは浸けている作品なので、シンプルに見えてけっこう手間はかかっています。

藍と白のコントラストを楽しむ帯合わせですが、汗ばむと帯が青くなるパターンですよね。これはもう藍染めしてから時間が経っているので大丈夫でしょうが。

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写真6番目は、城間栄順の紅型の九寸の名古屋帯を合わせてみました。ちらっと見ると、アジの干物みたいに見えてしまうのですが、ガジュマルです。
[ 2023/09/29 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

秋山眞和の花織と絣のある藍の作品の

第五千九百六十八回目は、秋山眞和の花織と絣のある藍の作品の帯合わせです。

今日は西陣の袋帯を合わせてみます。本来は訪問着のようなフォーマルに合わせる帯も使ってみました。ちゃんと着付け教室で習った人は間違った帯合わせだというでしょうね。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「鳳遊更紗文」を合わせてみました。龍村の中でも紬にも使えるシリーズです。これは高島屋上品会に出品されたもののようです。たまたま仕入れたら、上品会の札が取り忘れてありました。

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写真2番目は、龍村の袋帯「西域舞踊錦」を合わせてみました。烏丸工場製です。似たシリーズで鸚哥だけのもあります。

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写真3番目は、龍村の袋帯「印度煌華文」を合わせてみました。龍村と言えば豪華なフォーマルのイメージですが、これは紬に合うシリーズです。高価な伝統工芸品の紬もありますし、作家の創作的な作品としての紬もありますから、ぜひ紬対応の龍村も知ってください。

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写真4番目は、龍村の袋帯「騎馬陶楽文」を合わせてみました。イラクやシリアで出土するイスラム陶器に取材したものです。本歌は銀化して色はよくわからないですが、加藤卓男の再現品を見るとこの作品の元の雰囲気がわかります。重厚な加工で黒留袖でも使える帯ですが、こんな尖った使い方どうですか。

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写真5番目は、織悦の袋帯「厳島花鳥蝶花文」を合わせてみました。これも平家納経に取材した作品です。平家納経は33巻もあって、表紙や見返しなどいろいろな絵があるのですが、これはその1つです。極楽の風景なので、鳥も外敵がいないからゆったり飛んでいます。重力も弱いから一生懸命羽ばたく必要もないのかもしれませんね。

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写真6番目は、織悦の袋帯「枝栗繍文」を合わせてみました。タイトルに「繍文」とあるので、本歌は刺繍作品だとわかります。本歌が織物だと意匠に規則性があるものですが、刺繍だとデザインが自由でカジュアル感もあります。その一方で背景は金地で金屏風のようなフォーマル感もあります。この両極性が紬用なのか訪問着用なのかわからないところがありますね。
[ 2023/09/28 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)