錦工芸の九寸の名古屋帯「雪文様」

第三千八百十八回目の作品として、錦工芸の九寸の名古屋帯「雪文様」を紹介します。

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いちばん上の写真はお太鼓です。白地に白い雪の結晶という意匠です。

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写真2番目は腹文です。腹文は雪の結晶は2個ずつですが、片側は白と金、儲から側は白だけです。白だけだと模様がよく見えなくて寂しい気がしますが、着物によっては金を使いたくないときもあるはず。それが選択できるようになっています。

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写真3番目は、お太鼓の近接です。白地に対し白だけの結晶と白金の結晶があります。その間の空間を埋めるように金だけの小さい結晶があります。雪の結晶というのは伝統的な唐華文のようでもありますが、唐華文でいえば主文と副文のような関係ですね。

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写真4番目はもっと近接です。

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写真5番目は拡大です。金糸も使ってある結晶を拡大してみました。白い部分は絵緯糸で唐織のようなふくらみのある表現ですが、そこに細い撚金糸が時には縁取りのように、時にはまとわりつくように織り込まれています。

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写真6番目は拡大です。白い部分が唐織のようなふくらみのある表現である点では同じですが、それだけではなく金糸の代わりに細い白い撚糸が金糸の時と同じように織り込まれています。

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写真7番目は拡大です。白金の部分で、唐織で使うようなふくらみのある白い糸と、撚金糸で立体的な表現をしています。

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写真8番目は拡大です。大きい結晶どうしの間隔にある金糸の小さい結晶です。大きい結晶は唐織のような立体感のある表現になっていますから、その合間にある小さい結晶は平面的な表現にしてメリハリをつけるべきです。実際に拡大して見てみると、平金糸を使っていて平面的な表現にしていました。

立体的な部分との相互作用で全体が奥行きのある表現になっているんですね。作品に色が無いわけですから、その分、糸の形はバリエーションを付けているわけです。
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[ 2017/07/26 ] 西陣・綴 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「霞に千鳥」の帯合わせ

第三千八百十七回目は、花也の付下げ「霞に千鳥」の帯合わせです。

今日は本来のフォーマルの着物の帯合わせらしく、西陣織の帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、龍村の袋帯「海音光映錦」を合わせてみました。意味的なつながりを考え、千鳥に対し海景を合わせてみました。

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写真2番目は、織悦の袋帯「光琳水」を合わせてみました。MOA美術館にある「紅白梅図」の中央の川部分の流水を表す模様パターンを帯の意匠としたものなので、水とは言っても海でなく川ですね。千鳥としては苦しいところ。

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写真3番目は、織悦の袋帯「霞に扇子」を合わせてみました。霞として絵がつながるように合わせてみました。千鳥に対して意味がつながるような意匠の帯を探してみましたが、千鳥に対して合わせるモチーフというのは海の波しかないようです。というわけで、意味で合わせようとするとワンパターンになりやすいですね。

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写真4番目は、織悦の袋帯「桜楓遠山霞」を合わせてみました。経糸が黒の絹糸、緯糸が平金糸という組み合わせで、沈金のような雰囲気を演出しています。千鳥の群れが飛ぶのはおそらく海面でしょうが、その背景に遠山文様というのは意味的にもつながりますし、景色としては雄大でスケールの大きい帯合わせだと思います。この帯は遠山霞に桜と楓を織り出し、意味的には関係の無いものになっていますが。

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写真5番目は、織悦の袋帯「琳派柴垣草花文」を合わせてみました。意味から離れ、綺麗な色御合わせてみました。着物は色もモチーフの数も抑えたストイックな雰囲気ですから、帯で綺麗な色やモチーフをプラスしてみました。意味をつなげようとか悩んでいるより、綺麗なものを合わせちゃった方が良い、ということもありますね。

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写真6番目は、龍村の名古屋帯「寄せん裂」を合わせてみました。名物裂の文化には、蒐集した名物裂を貼り交ぜるというのもあります。ただしこれは1つのつながった織物です。実際に龍村裂のハギレを買ってきて縫い合わせて帯にしたものもありますね。貼り交ぜた名物裂は意味も季節もさまざまですから、意味にこだわらない帯合わせができるという点で便利です。
[ 2017/07/25 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「霞に千鳥」の帯合わせ

第三千八百十六回目は、花也の付下げ「霞に千鳥」の帯合わせです。

普通であれば、まず袋帯を合わせるところですが、今回はまず染め帯で合わせてみます。この着物の模様は、千鳥が飛んでいるだけで展開していくことはありません。絵画性が高いとは言えず、帯で絵画性を加える余地が多くあるように思います。

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いちばん上の写真は、木下冬彦さんの友禅の袋帯を合わせてみました。千鳥という模様は「波に千鳥」という慣用句的な組み合わせで表現されます。海とのセットなんですね。花也の千鳥の付下げも、最初つくられたときは「波に千鳥」でした。それ以前からあった波だけの付下げのバリエーションとして千鳥を合わせたものでした。

今回の作品は波から離れて霞を合わせていますが、江戸解ともいわれる海景を含む帯を合わせて元の「波と千鳥」を再現してみました。

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写真2番目は、木下冬彦さんの友禅の袋帯を合わせてみました。上と同じ海景を合わせていますが、違うところは上の作品は松と波と砂だけというシンプルな海景ですが、こちらは鶴、干網、芦、舟、松と盛りだくさんです。単体で鑑賞するときや無地や江戸小紋に合わせる時は物語性があるのが良いですが、付下げに合わせることなど考えるとモチーフ数が少ない方が良いかもしれませんね。

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写真3番目は、秀雅の友禅の名古屋帯を合わせてみました。実際に制作したのは大松です。楓の取り方の中に海景を入れたものです。江戸解ともいわれる意匠で、海辺と松原あるいは苫屋を描いたものです。菊もあって御所解風でもありますね。海を含む景色を合わせることで、千鳥のいる環境を再現してみました。

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写真4番目は、花也の糊糸目の名古屋帯「硯に羊歯文」を合わせてみました。単体で鑑賞可能な糊糸目が美しい作品です。千鳥とは関係のない模様ですが、帯合わせとはそういうものでもあると思います。

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写真5番目は、花也のダンマルと箔の名古屋帯「松に笹」を合わせてみました。意味的にはつながりが無いですが、逆らうこともまたない帯合わせです。もともと付下げの意匠は色数は多くないですが、帯も色がなく、トータルで色数を抑えたおぼ合わせになっています。

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写真6番目は、千切屋治兵衛のの名古屋帯「麦」を合わせてみました。実際に制作したのは中井亮さんです。これも帯と着物の模様に意味的なつながりが無いですが、「麦秋」と呼ばれる麦の収穫時期は6月で単衣時期ですから、海景を予感させる千鳥も単衣として仕立て、単衣の帯合わせを考えてみました。
[ 2017/07/24 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「霞に千鳥」の続き

第三千八百十五回目は、花也の付下げ「霞に千鳥」の続きです。

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いちばん上の写真は、マエミの千鳥の近接です。

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写真2番目は、線描きの千鳥も近接してみました。糊筒で線描きしたものですが、几帳面に描いてあります。筆で描くならもっと表現方法があるかもしれませんが、小さいものですから糊筒で描くならきちんと描くのが精いっぱいだと思います。

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写真3番目は、江戸時代後期の白揚げの小袖に描かれた千鳥です。

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写真4番目は、花也の別の作品(夏の染め帯)の千鳥です。今回の千鳥は彩色していますが、別の作品では白揚げで描いたものの方が多いです。全体が白揚げで、金で括り、頭部や翼の一部を色挿しした様式は、江戸後期の小袖を踏襲したものでした。

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写真5番目は、毎田仁郎の色留袖に描かれた千鳥です。加賀友禅の大御所ですが、ゆるキャラ的にかわいい千鳥を描いていました。

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写真6番目は、中町博志の訪問着に描かれた千鳥です。モダンで革新的な表現で知られた中町博志ですが、千鳥の足の形を見てみると、意外にも江戸時代の小袖の様式をそのまま踏襲しているんですね。
[ 2017/07/23 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「霞に千鳥」

第三千八百十四回目の作品として、花也の付下げ「霞に千鳥」を紹介します。

千鳥または波に千鳥というテーマの作品は、江戸時代から現代まで繰り返し作られていますし、花也でも何度かつくられています。ベタな感じと言ってしまえばその通りですが、嫌いという人も少ないと思います。今回の作品は、霞ぼかしと千鳥を合わせたシンプルなものですが、このテーマはシンプルな方が良いですよね。え

ところで、今回の作品はブラタクの糸で織った生地を使っています。ブラタクはほとんどをエルメスが使っていることで知られている最高級の絹糸です。ブラタクとは「ブラ拓」で、ブラジル拓殖組合の意味です。戦前、日本では朝鮮拓殖とか満州拓殖とか日系移民のいる国に拓殖組合を作っていました。そのブラジル版がこのブラタクで、その組合から製糸部門が独立したのがブラタク製糸株式会社です。今も社長は日系人で、戦後も日本からの技術指導も行われていたんですよ。

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いちばん上の写真は、前姿(マエミ+オクミ)です。今回は線描きによる表現の千鳥もいます。

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写真2番目は後姿です。

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写真3番目は袖です。

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写真4番目は、もう片方の袖です。

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写真5番目は胸です。暈し霞の上下は、金線で仕切ってあります。左右両端はグラデーションです。

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写真6番目は、過去に作られた花也の「波に千鳥」です。これがこの千鳥シリーズとして最初に作られたものです。しかしこれ以前に波だけのシリーズも作られており、それに千鳥を加えたと思えば波シリーズの派生作品でもあるんですね。

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写真7番目は、過去に作られた花也の「千鳥」です。波に千鳥の波を外した千鳥だけの作品です。千鳥が少し大きくなっています。
[ 2017/07/22 ] 友禅 | TB(0) | CM(1)