FC2ブログ
2018 09123456789101112131415161718192021222324252627282930312018 11

千切屋治兵衛の訪問着「胡桃」の続き(実際の制作は中井淳夫)

四千二百五十八回目は、千切屋治兵衛の訪問着「胡桃」の続きです。実際に制作したのは中井淳夫さんです。

今日は今回の作品を理解するために、関連する他の作品を紹介します。今回の作品ほど凝ってはいないですが、同様の技法を使ったものはあります。中井淳夫さんが使っていた下職のダンマル描きの職人は父娘で仕事をしていました。中井さんはお父さんの方に仕事を頼んでいましたが、その後、花也が娘さんの方に仕事を頼んでいました。

img128.jpg
いちばん上の写真は、花也の付下げです。娘さんの方のダンマル描きの作品です。

img131.jpg
写真2番目は近接です。輪郭が端正なのは父娘とも同じですが、内部の表現は娘さんの方が濃淡が少ないです。花也さんの好みかもしれません。

img200.jpg
写真3番目は、花也の染め帯で、娘さんの方のダンマル描きの作品です。

img205.jpg
写真4番目は近接です。この作品では、ダンマル描きで防染した上から彩色しています。さらに彩色した色であしらい刺繍をしています。また金彩の輪郭線を加えており、装飾的な要素が増えています。

img220.jpg
写真5番目は、花也の染め帯で、娘さんの方のダンマル描きの作品です。

img222.jpg
写真6番目は近接です。金彩とダンマル描きを組み合わせています。

img020.jpg
写真7番目は、中井淳夫さんの訪問着で、今回の訪問着と同じお父さんのダンマル描きです。

img035.jpg
写真8番目は近接です。一見、金彩による華やかな作品ですが、実際にはダンマル描きと金泥描きを組み合わせたものでした。ダンマル描きというのは写生的な表現に向いていて、金彩は装飾的表現に向いていて、反対のようですが、中井さんは相性が良いことに気がついていたんですね。
スポンサーサイト
[ 2018/10/15 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の訪問着「胡桃」の続き(実際の制作は中井淳夫)

四千二百五十七回目は、千切屋治兵衛の訪問着「胡桃」の続きです。実際に制作したのは中井淳夫さんです。


今日は近接で撮って、細部を紹介したいと思います。しかし実際に近接で撮ってみると、どこを撮っても同じともいえるし、どこも全部見どころとも言えます。熱帯雨林のジャングルに迷い込んだようで、起承転結のない回になってしまいました。

IMG_57564.jpg
いちばん上の写真は近接です。技法は基本的にはダンマル描きで、半防染効果を使って明暗や遠近を表したものですが、彩色も行っています。葉の光の当たる部分彩色による表現ですが、加賀友禅や沖縄の紅型のように、葉の先端を暈すとか、葉の元を暈すとかルールがあるわけでなく、写生的に描いています。だから葉の真ん中に彩色している部分もあるんですね。

IMG_57614.jpg
写真2番目も近接です。白い実のある枝は、割と彩色が少なくダンマルの半防染の味わいがよくわかります。彩色無しでもけっこう立体感を感じます。デッサンが上手で輪郭が正確ならば、それだけで立体感が生まれるんでしょうね。

IMG_57644.jpg
写真3番目も近接です。

IMG_57624.jpg
写真4番目も近接です。

IMG_05404.jpg
写真5番目はあしらい刺繍のある赤い実に近接してみました。

IMG_05414.jpg
写真6番目はあしらい刺繍のある白い実に近接してみました。白い実のあしらいはクリーム色がついています。白い実に被さる葉は防染のの線だけでなく、人為的に描かれた輪郭線がありますよね。

IMG_57704.jpg
写真7番目は、赤い実に出来るだけ近接してみました。
[ 2018/10/14 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

千切屋治兵衛の訪問着「胡桃」(実際の制作は中井淳夫)

四千二百五十六回目は、千切屋治兵衛の訪問着「胡桃」を紹介します。実際に制作したのは中井淳夫さんです。


1年半ぐらい前に仕入れた訪問着ですが、今までブログに掲載することができませんでした。この着物の解説を書けるほど、私に知識がなかったからです。それは今も同じですが、せっかく仕入れて載せないわけにも行かないので、今日載せてみました。

基本の技法はダンマル描きです。中井の古い作品には本蝋(パラフィン)もあるので、そうかなあとも思いましたが、絵画的に上手すぎて、融点の熱いパラフィンではこんなにコントロールできませんよね。

IMG_05274.jpg
いちばん上の写真は全体です。描かれているのは胡桃の木というのですが、本当に1本だけなんですね。後姿の、背中心近くに幹があって、すべてはそこから始まり、着物全体に展開していきます。袖のいちばん端まで、描かれているものは全て、背中心近くの幹から繋がっていないものは描かれていないんですね。

このような図案は江戸時代の小袖の立木模様から始まり、さらにその元はインドの生命の木なんですけど、このように全体の隅々まで生き生きと展開していくと、すごい構成力だなあと感心してしまいます。

IMG_05314.jpg
写真2番目は前姿(マエミ+オクミ)です。ダンマル描きが糊防染の友禅に対して優れてるところは、半防染技法ができるところですね。ダンマル液を薄く置くと半分ぐらい防染して中間色ができるところです。この技法を使うと空気遠近法ができて、奥行きが表現できるのです。

IMG_05334.jpg
写真3番目は後姿です。葉は勢いよく生い茂って重なっていますが、視線は混乱しません。半防染技法による空気遠近法によって、前にある葉と後ろにある葉がちゃんと識別できるからです。友禅であれば彩色によって色で区別することになるでしょう。同じことを表現するなら、少ない手数で表現した方がクレバーですよね。

IMG_05354.jpg
写真4番目は後ろ身頃~下前です。ダンマル描きだともっと絵画的に明暗を付けたものがあります。この作品は、友禅よりも写生的な感じがしますが、ダンマル描きだと思えば抑制的かなあ。写生とは言い切れない、装飾的な雰囲気(気品というのかなあ)もありますよね。

IMG_05374.jpg
写真5番目は袖です。装飾的な雰囲気の正体は、意外にも防染によりきっちりとした葉脈と輪郭線でしょうか。葉の中は明暗が付けられ写生的ですが、輪郭は糸目友禅のようにくっきりしていて、そのために古典的な美があるんだと思います。

IMG_05384.jpg
写真6番目も袖です。遠くの葉は防染の輪郭線だけですが、近くの葉は濃い線の意図的に描かれた輪郭線があるように見えます。この正体はわかりません。描き絵ということなんでしょうか。
[ 2018/10/13 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

紫紘の袋帯「新瑠璃鈿十二稜鏡文」の帯合わせ

四千二百五十五回目は、紫紘の袋帯「新瑠璃鈿十二稜鏡文」の帯合わせです。

今日は紬を合わせてみました。


IMG_56764.jpg
いちばん上の写真は、秋山真和の綾の手紬を合わせてみました。深緑色の地で、多色の経絣で雨のような模様が入っています

IMG_56774.jpg
写真2番目は、秋山真和の綾の手紬を合わせてみました。クリスマスみたいな緑と赤の絣です。赤の絣には経緯とも赤の絣と緯糸だけ赤の絣があって、赤の濃淡をつくっています。

IMG_56784.jpg
写真3番目は、大城織物工場の琉球絣を合わせてみました。

IMG_56804.jpg
写真4番目は、秋山真和の綾の手紬を合わせてみました。19世紀に織られた首里の織物として実在する織物を再び織ったものです。

IMG_56814.jpg
写真5番目は、林宗平の塩沢紬を合わせてみました。「古代紬」というネーミングで制作していたころのものです。

IMG_47774.jpg
写真6番目は、新田機業の紅花紬を合わせてみました。紅花から得られた赤と黄色に藍染を加えると、色の三原色が揃います。それを重染めすれば理論上あらゆる色がつくれるわけです。だから黒・焦げ茶・紫あるいは緑の紅花紬もあるのです。

IMG_47784.jpg
写真7番目は、久米島紬を合わせてみました。通常の久米島紬は、緯糸だけが真綿で経糸は玉糸ですが、これは経緯とも手紡ぎの真綿糸を使ったモロといわれる作品です。手紡ぎの真綿糸を経緯に使うとコスト高になりますが、それだけでなく絣が合いにくくなるので難度が増すのです。

IMG_47844.jpg
写真8番目は、大城織物工場の琉球絣「三代継承紬」を合わせてみました。「三代継承紬」というタイトルが付けられた作品は、かつて哲さんによって織られたスペシャルバージョンです。三代とはカメ、清栄、哲のことであり、経緯ともに手紡ぎの真綿糸が使われています。販売されていたときの価格は、通常品の2,3倍したと思います。

IMG_47904.jpg
写真9番目は、山下八百子さんの黄八丈を合わせてみました。
[ 2018/10/12 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

紫紘の袋帯「新瑠璃鈿十二稜鏡文」の帯合わせ

四千二百五十四回目は、紫紘の袋帯「新瑠璃鈿十二稜鏡文」の帯合わせです。

今日は染めの着尺(小紋)を合わせてみました。

IMG_56684.jpg
いちばん上の写真は、野口の蝋染の格子の着尺を合わせてみました。

IMG_56694.jpg
写真2番目は、野口の蝋染の格子の着尺を合わせてみました。

IMG_56744.jpg
写真3番目は、野口の蝋染のよろけ縞の着尺を合わせてみました。縞の地紋の生地に蝋防染でよろけ縞を描き、防染で白抜きになった部分に手彩色したものです。真っ直ぐな地紋の縞と、よろけた防染の縞が重なって面白い感じになっています。真っ直ぐな縞とよろけた縞が重なるというのは、不自然で気持ちが悪いと思いますが、実物を見るとお洒落だったりするんですね。野口のセンスということでしょうか。

IMG_56754.jpg
写真4番目は、野口の短冊模様の着尺を合わせてみました。短冊の中は金彩の華文です。

IMG_56664.jpg
写真5番目は、野口の飛び柄の着尺を合わせてみました。手彩色によるものです。

IMG_56734.jpg
写真6番目は、千切屋治兵衛の飛び柄の着尺を合わせてみました。紬地で、実際の加工は大和さんです。

IMG_56724.jpg
写真7番目は、野口の大きめの飛び柄の着尺を合わせてみました。

IMG_56714.jpg
写真8番目は、野口の更紗の着尺を合わせてみました。

IMG_56654.jpg
写真9番目は、野口の更紗の着尺を合わせてみました。こちらは大きい模様です。
[ 2018/10/11 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)