花也の付下げ「菊の葉」の帯合わせ

第三千八百七十六回目は、花也の付下げ「菊の葉」の帯合わせです。

今日も友禅の名古屋帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、野口の名古屋帯「琳派菊模様」を合わせてみました。葉だけの付下げに対して、菊の花を足して本歌に戻すパターンをやってみました。

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写真2番目は、秀雅の名古屋帯「楓取り海浜模様」を合わせてみました。実際に制作したのは大松です。1枚の楓の葉に大きな海景を入れた図案です。小さなものに大きなものを入れてこそ意匠ですね。その逆だったらただの絵です。着物の意匠は小さな葉を大きく描く微視的なものですから、帯は大きな海景で良い組み合わせではないかと。

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写真3番目は、野口の名古屋帯「貝桶」を合わせてみました。実際に制作したのは橋村重彦さんです。江戸時代の袱紗にある意匠です。江戸時代の友禅のほぼ写しであるだけに、橋村さんの友禅の技をしっかり見せてくれる作品です。

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写真4番目は、野口の名古屋帯「御所解模様牡丹文」を合わせてみました。御所解模様の小袖の一部分を抜き出したものです。御所解の様式の着物はよくありますが、形だけ友禅で真似たものが多いです。この作品を見ると牡丹の輪郭が、白い糸目の線ではなく黒い墨の線です。そういうところに本気が見えますね。

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写真5番目は、大羊居の名古屋帯「高山寺」を合わせてみました。うさぎと秋草文ですが、大羊居ではすごく人気のテーマで付下げでも何度かつくられているようです。秋草文には菊もありますが、その菊をクローズアップしていくと着物の模様になるというつながりで合わせてみました。

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写真6番目は、一の橋の名古屋帯「月に兎」を合わせてみました。実際に制作したのは安田です。ずーっと呉服屋をやっていると、たいていのものはこうやって作っているんだなとわかるものですが、真似をすることもできず、ただ崇めるだけのものは中井と安田ですね。

月は濡れているように見えるし、うさぎは憂いているのか憧れているのか、描けと言われたら描けないです。
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[ 2017/09/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「菊の葉」の帯合わせです。

第三千八百七十五回目は、花也の付下げ「菊の葉」の帯合わせです。

今日も袋帯を合わせてみました。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「彩籠目」を合わせてみました。籠目だけのデザインは、絵画的につまらない気がしますが、配色の上手さのおかげで結構綺麗ですし、籠目だけであるということが帯合わせでは圧倒的に有利になっています。

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写真2番目は、龍村の袋帯「海老殻間道」を合わせてみました。葉だけという言葉少な目の着物に対し、間道という無口な帯を合わせてみました。言葉を交わさないで親密さを表現する名優2人の演技みたいなイメージで。

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写真3番目は、龍村の袋帯「波兎遊跳文」を合わせてみました。兎いかがですか。

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写真4番目は、龍村の袋帯「有朋文」を合わせてみました。動物いかがですか。

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写真5番目は、龍村の袋帯「甲比丹(カピタン)縞格子」を合わせてみました。近世に東インド会社を通して輸入されたインドの裂は木綿の縞であるは唐桟とモールです。まだ日本で木綿の縞が織られていない時代、唐桟は高級品でしたが、薄い金の板を芯糸に巻き付けたモール糸を使った裂はマハラジャしか持てないほどの高級品でした。

これはそのモールをイメージした帯で、金糸の横段模様は現在の普通の金糸ですが、本歌ではこれが薄い金の板を芯糸に巻き付けたモール糸だったんですね。

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写真6番目は、帯屋捨松の袋帯「籠目地牡丹菊文」を合わせてみました。牡丹と菊が交互に織り出してある帯で、お太鼓が菊か牡丹は選べれば春秋対応で便利ですが、実際にはお太鼓が菊、腹文が牡丹になるだろうと思います。昨日と同じ、菊の花を復活させて本歌に近づける帯合わせです。

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写真7番目は、梅垣の袋帯「蒔絵花鳥文」を合わせてみました。梅垣の最高級クラスの帯で、引き箔の地が、蒔絵の肌漆の金の工芸品のイメージを織物で表現しています。
[ 2017/09/22 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「菊の葉」の帯合わせ

第三千八百七十四回目は、花也の付下げ「菊の葉」の帯合わせです。

今回の作品の本歌である小袖には菊の花もありましたが、作品化の過程で花が省略され、葉だけの作品になりました。今日は帯合わせでその菊の花を回復してみようと思います。品種改良でも、原種と掛け合わせてみることで、新しい種が生まれることもありますから。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「彩悦錦枝菊吉向地文」を合わせてみました。有職織物の二陪織物の様式です。

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写真2番目は、織悦の袋帯「柴垣秋草文尽」を合わせてみました。

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写真3番目は、河合美術の袋帯「菊尽し」を合わせてみました。

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写真4番目は、華陽の袋帯「菊尽し」を合わせてみました。

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写真5番目は、野口が企画した袋帯「菊と波の丸」を合わせてみました。実際に制作したのは池口です。引き箔の地に金彩や刺繍を加えたものです。

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写真6番目は、織悦の夏の袋帯「菊と流水」を合わせてみました。
[ 2017/09/21 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「菊の葉」の続き

第三千八百七十三回目は、花也の付下げ「菊の葉」の続きです。

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いちばん上の写真は、この作品の元になった小袖です。今回の付下げは菊の葉だけですが、本歌は花もありました。上半身の半分を覆うような巨大な花弁があって、その上にたくさんの花と葉があって、しかもその花と葉は、別々に列を作って重なっているという普通では思いつかない図案です。

最盛期の小袖の意匠は奇想天外です。これにくらべると御所解といわれるような模様は平凡です。御所解のような模様は今は人気がありますが、あれは小袖の劣化した姿にすぎないと思います。

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写真2番目は細部を撮ってみました。葉が重なるところは同じですが、本歌は葉は写生的に描かれ、花が疋田でした。この作品では花がありませんから、疋田は葉にも使われています。なおこの作品の疋田は型疋田ではなく、手描きの疋田です。

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写真3番目は、マエミトオクミの縫い目辺りの近接です。葉の表現の全種類見ることができます。

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写真4番目は、友禅による表現、2種類です。

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写真5番目は、描き疋田2種類の近接です。葉の模様の形を糊伏して防染し、普通の染料と金彩とで描いています。疋田の表現の方法として、狭い面積の模様の中を疋田にする場合は、中井淳夫さんはその都度わざわざその形の型を作ったと言われています。普通は、わざわざその形の型を作るよりは、模様の形だけ防染し中は描き疋田にした方が合理的です。

合理的な方法として、疋田を彫った四角い汎用型を作っておいて、縁蓋で防染した模様の形の中を染める方法があります。私はそれでも良いと思いますが、中井さんはその都度形に合わせて作ったということです。花也さんはそういう時は手描きします。手描きの味というのがありますから(よく見ると絞りの失敗も描いてある)、そういうコストの使い方は合理的ですね。

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写真6番目は、友禅と描き疋田の境目を撮ってみました。描き疋田の周囲には糊糸目があって、防染工程がわかります。
[ 2017/09/20 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)

花也の付下げ「菊の葉」

第三千八百七十二回目の作品として、花也の付下げ「菊の葉」を紹介します。

菊がテーマですが、花が無くて葉だけの付下げです。袷としても秋の単衣としても着られそうです。模様のつながりが複雑なので、本来であれば仮絵羽にして制作すべきものですから、実質的には訪問着ですね。

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いちばん上の写真は前姿(マエミ+オクミ)です。彩色を伴う糊糸目の友禅、線描き、2色の描き疋田の4種類からなっているけっこう複雑な重なりです。元のモチーフは菊の葉という1種類ですから、その変奏として展開していくわけです。繰り返しの美と変化のある美の両方を兼ねています。

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写真2番目は後姿です。

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写真3番目は袖です。

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写真3番目は、もう片方の袖です。

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写真5番目は袖です。
[ 2017/09/19 ] 友禅 | TB(0) | CM(0)