七野の麻の名古屋帯(8寸)

第三千七百五十七回目の作品として、七野の麻の名古屋帯(8寸)を紹介します。

昨日紹介した宮岸織物(1393)は8寸の麻の名古屋帯も織っています。縞も織っていますが、今日紹介するのは具象的な模様の帯です。帯合わせもしていますが、ふだん4寸の帯を合わせる浴衣に8寸の帯を合わせると、ややフォーマル方向になります。

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いちばん上の写真はお太鼓です。

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写真2番目は拡大です。地は昨日と同じ平織ですが、模様部分は絵緯糸で表現されています。絵緯糸には細い抑え糸が使われています。表示は「麻100%ただし抑え糸を除く」とありますが、これがその麻でない抑え糸ですね。

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写真3番目は、近江ちぢみと合わせてみました。

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写真4番目は、別の柄を近江ちぢみと合わせてみました。

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写真5番目は、絹紅梅と合わせてみました。絹紅梅あるいは綿紅梅は、細い糸の間に経緯ともに一定間隔で太い糸を混ぜて織った生地で、両者の高低差から生地が肌にぴったりつかず涼しいというものです。生地に高低差があるので「勾配」で、それを江戸っ子らしい駄洒落で「紅梅」といったものです。江戸時代の文というのはかな表記が多く、どちらも「こうはい」ですから、駄洒落が思いつきやすかったのでしょう。

「絹紅梅」というのは、生地の素材と織の組織について言っているだけで、加工については言っていません。つまり加工は自由で、浴衣のようなカジュアルにすることもありますし、縮緬にするような多色の小紋にすることもあります。付下げや訪問着に染めることもできるでしょうね。この例では、藍染で浴衣のようにしています。

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写真6番目は、初山一之助の長板藍染の浴衣と合わせてみました。浴衣の模様がこまかくてごちゃごちゃしているので、帯の模様は余白が多いものにしてみました。
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[ 2017/05/26 ] カジュアル | TB(0) | CM(0)

七野の麻の半幅(4寸)の帯

第三千七百五十六回目の作品として、七野の麻の半幅(4寸)の帯を紹介します。

七野の帯というのは、麻の浴衣用のカジュアルな帯ですが、織っているのは宮岸織物という西陣の織屋さんです。証紙番号は1393です。4寸も8寸もあり、無地も縞も柄物(絵緯糸で表現している)もありますが、今日紹介するのは4寸で、博多帯にもありがちな1本独鈷という意匠ですね。

色はいろいろあるようですが、紹介するのは青だけです。浴衣の基本色は紺なので、この帯で同系色濃淡を作ってみます。

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いちばん上の写真は、帯の幅を写真の幅として撮ってみました。

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写真2番目は拡大です。基本の平織で、拡大するほどのこともないと思いましたが、ついしてしまいました。

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写真3番目は、雪花絞りの浴衣と合わせてみました。藤井絞のものです。雪花絞りは明治時代に有松で考案された折りたたんで圧力をかける絞りです。縫い絞りに比べれば簡単なので量産がきく技法として開発されました。藤井絞は有松に外注して染めています。

有松のブランドで販売される雪花絞との違いは、有松ブランドが木綿であるのに対し、藤井絞は麻が半分入っている生地を使っていることです。それで少し涼しいということでしょうが、私はそれより麻が入っているために生地に光沢があるのが気に入っています。雪花絞のデザインで光沢があると、江戸切子みたいな雰囲気が出て綺麗なのです。

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写真4番目は、初山一之助の藍の長板染の浴衣を合わせてみました。浴衣は時代によって変遷しています。江戸時代以来の浴衣は、1反ずつ型で糊を置いて防染し、藍甕に浸けて染めていました。これがいちばん純粋なホンモノですね。大正時代になると注染が発明され、一度に数十枚染められるようになりました。この技法が発明された時は、安物用の量産技法だったのでしょうが、現在はインクジェットが発明されてしまっため、この注染がホンモノとして尊重されるようになってしまいました。

初山一之助の浴衣は、一番ホンモノの藍の長板染ですが、最近は残念ながらやってないみたいですね。今後ホンモノを買おうと思うと、30万円ぐらいする人間国宝の松原さんと、10万円ぐらいする竺仙しかないのではないでしょうか。

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写真5番目は、三勝の注染の浴衣を合わせてみました。

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写真6番目は、藤井絞の浴衣を合わせてみました。これも折りたたんで圧力をかける絞りで、折りたたんだ痕跡が線になって残っています。本来の絞の模様である丸と相まって、グラフィック的な意匠になっていますが、折りたたんだ痕跡の線は、当初から意図的なものだったかよくわかりません。

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写真7番目は、三勝の浴衣を合わせてみました。帯の色とほとんど同色に見えて面白いので載せてみました。
[ 2017/05/25 ] カジュアル | TB(0) | CM(0)

野口の振袖の帯合わせ

第三千七百五十五回目は、野口の振袖の帯合わせです。

今日は色を基準に考えて帯合わせをしてみました。

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いちばん上の写真は、河合康幸の袋帯を合わせてみました。能衣装写しの唐織の帯です。着物と同系色の紫地であることで選んでみました。振袖のような帯合わせは華やかに盛り上げるもので、同系色ですっきりまとめるというのはしないものです。今回はあえてやってみましたが、けっこう受け入れられるのではないかと思っています。

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写真2番目は、しょうざんの袋帯を合わせてみました。徳田義三の図案によるもので、徳田義三ブランドで売ったシリーズの1本です。「しょうざん」というのは、かつて西陣製の高級ウールである「しょうざんウール」がヒットとし、その後は「しょうざん生紬」というヒット作があります。「生紬」という語は、じつはしょうざんの商標にすぎませんが、一般語である玉紬より知られています。それだけ「しょうざん生紬」がヒットしたということです。

しょうざんは、レジャーランドや結婚式場を始め、呉服業界から不動産業などのビジネスに軸足を移していきました。また帯の分野においては中国生産の先駆者の1人でもあり、なんとなく一生懸命ものつくりをする人というよりは、ビジネス上手のイメージがあります。しかしこの徳田義三シリーズはデザインだけでなく素材も技法も凝っていて大まじめに作ったものです。

今回は紫色地ということで選んでいます。

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写真3番目は、じゅらくの「帝王紫」シリーズの極初期の1本を合わせてみました。まだ吉岡常雄さんが存命中で本人のデザインによる作品です。これ自体は手織りのとても凝ったものですが、今の「帝王紫」の現状はネットで検索するとわかります。

「じゅらく」と「しょうざん」は、ブランドとしては似たイメージがあります。しょうざんにおける徳田義三は、じゅらくにおける山鹿清華と吉岡常雄ではないでしょうか。どちらも人気作家を取り込んだブランド戦略だったと思います。かつての日本車におけるジウジアーロデザインみたいなものでしょう。ジウジアーロを看板にするのは今は中国車や韓国車がやっていますよね。

貝紫を使ったというのが売りですから、紫がとても美しい作品です。同系色チャレンジで選んでみました。

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写真4番目は、帯屋捨松の袋帯を合わせてみました。鳴子をテーマにしたもので、「帯屋捨松」のロゴが無い手織りバージョンです。今日手織りバージョンはすべて中国製のようですが、これは昔のもので日本製です。紫を効き色として使っていて、その印象が強いので選んでみました。

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写真5番目は、洛風林の袋帯を合わせてみました。実際に織っているのは帯屋捨松で、当時は洛風林同人だったんですね。洛風林同人のリストにも木村さんの名前がありました。亀甲が並ぶ単純な意匠ですが配色がすごく上手く、さすが洛風林ですね。紫はないですが、模様の色には良く反応しています。

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写真6番目は、服部の「こはく錦」シリーズの当時の最高級クラスの1本「24kオリエント錦」を合わせてみました。この振袖はしぼの大きい縮緬地を使っていて、深い発色が特長ですが、その反対の金属的な輝きを持つ24kの引き箔の帯との取り合わせにしてみました。

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写真7番目は、紫紘の袋帯を合わせてみました。地の経糸が朱色の絹糸なのに対し、全体に絵緯糸として金糸が織り込んであります。そのために全体が朱色に光っているんですね。これは振袖専用か、20代向きの帯だったのでしょう。現代の感覚だと紫ならピンクを合わせたくなるものですが、朱色を合わせるとアンティークっぽい雰囲気になります。目が慣れてくると、これじゃないと着物じゃない、と思えてくるぐらい良いんですよね。
[ 2017/05/24 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の振袖の帯合わせ

第三千七百五十四回目は、野口の振袖の帯合わせです。

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いちばん上の写真は、織悦の袋帯「東大寺花文」を合わせてみました。主文と副文から成る上代の唐華文の基本パターンに取材したものです。ただ副文にクローズアップにしているところに個性があります。大きくて単純な文様が繰り返す、という美しさもありますね。

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写真2番目は、織悦の袋帯「桐桜大紋桃山」を合わせてみました。近世初期の刺繍小袖の文様に取材したものです。帯の幅からはみ出しそうな大きな意匠で、これが歴史ドラマでいうと、信長・秀吉・家康が出る桃山小袖のイメージですね。

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写真3番目は、織悦の袋帯「流水紅葉」を合わせてみました。「龍田川」とも呼ばれる意匠です。大きくて単純な模様の繰り返しで、小細工しなくても美しいものは作れるんじゃないかという気がしてくる帯ですね。

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写真4番目は、織悦の袋帯「印度華文更紗」を合わせてみました。帯の地色は「桜色」と表示されています。優しすぎるピンクで意外な色合わせですが、濃い紫にこんな色をあわせるもありかと思います。

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写真5番目は、龍村の袋帯「招福三友錦」を合わせてみました。模様が大きく縁起の良いモチーフの組み合わせなので、振袖に使いやすいですが、色が淡く上品なので訪問着用としても併用できそうです。そういうのは経済的ですね。

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写真6番目は、龍村の袋帯「瑞鳥遊園錦」を合わせてみました。チュニジアに多く残るローマ時代のモザイクの床や壁のモザイクに取材したものです。チュニジアに多く残るのは、カルタゴ占領後にローマの軍団が集団で入植して計画的に都市を作ったからです。銀色地に赤と緑と黄色と葡萄の紫で模様を織り出していて、あらゆる着物に合わないような帯ですが、ひょっとするとこういうのが芸術というのかなあという気にさせる帯です。

龍村は現在のこの帯を織り継いでいるのですが、今は色がもっと着物に合いそうなものに変わっています。やはり一作目は、純粋な芸術だったんでしょうか。
[ 2017/05/23 ] 帯合わせ | TB(0) | CM(0)

野口の振袖の続き

第三千七百五十三回目は、野口の振袖の続きです。

今日は袖の写真を撮ってみました。2つの袖の内外で、写真は4通りです。また個別の模様に2か所近接してみました。

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いちばん上の写真は袖です。振袖で長いので、全部は撮れていません。

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写真2番目も袖の一部です。

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写真3番目も袖の一部です。

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写真4番目も袖の一部です。

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写真5番目は個別の模様の近接です。

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写真6番目は個別の模様の近接です。